−風見鶏− 【 Ｊ 】

４９．戻ってこいって・・・ ページ49

「もしもし、奈々？」

『カバディ、今大丈夫？』

「おう、どうした？」

『今日大倉と会ってね、カバディが夏休みの間に３人で飲もうって話になってね。
明日か明後日の予定空いてる？』

「大丈夫、空いてる。」

『ホント？よし！３人でお酒交わすなんてなかったもんね！』

「そういやそうだなー。高校卒業んときは未成年だもんな。」

『何食べたい？行きたい店とかある？』

「ん〜〜〜。」


奈々と話してる最中にキャッチが入った。

誰だろう・・・。


「ごめん、奈々。キャッチ入ったから、後でかけ直すわ。」

『わかった。』


通話ボタンを押してキャッチに切り替えた。


　
「はい、もしもし。」

「松本様ですか？」

「はい。」


この声・・・。
屋敷の使用人じゃねーか。


「どうした？」

「旦那様からご伝言です。至急お戻り下さいとのことです。」

「至急？何かあったのか？」

「それは・・・お戻りになられて旦那様からお話があると思われますが。」

「何があったんだっつーの！！」


突然の電話の内容が「帰ってこい」。

理由をはぐらかされたら、カチンときた。

イライラと焦りによる怒鳴り声で電話の相手を急かす。

何が起きたんだ、何の理由で俺は戻されるんだ。

電話の向こうでボソボソと理由を話し始めた。


「翔様が旦那様の命令で部屋に閉じ込められ、使用人の藤崎が急遽解雇になりました。」

「はっ！？なんだ、それ！」

「詳しくはお戻りになられてから・・・。」

「−−−わかった。」

テーブルに置いてた腕時計をチラリと見て時間を確認して、

「とりあえず、明日の朝イチまでには戻るから。旦那様にそう伝えてくれ。」

と答えた。

「はい、わかりました。」


　

携帯を切っても尚、しばらく呆然とした。


　
翔様が、旦那様の命令で？

藤崎が解雇？

俺の想像以上の事が屋敷で起こってるてことだよな。


屋敷に持ち帰る荷物の用意を簡単にし始める。

あ、そうだ。奈々に電話だ。

数回コールしたけど、留守番電話サービスに繋がってしまった。


「奈々？潤です。
急遽夏休み終了になっちまって戻ることになったわ。
まじでごめん。
大倉にもあとでメールしとくわ。
奈々にもまたメールするから。」


身支度をし終わり、時計を見た。

「電車とタクシーで夜中には屋敷に戻れるな。」


カバンを肩にかけ、母さんに、

「また戻ってくるから。」

と素っ気なく告げ、


屋敷に戻るために駅に向かった−−−。
　

　

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