−風見鶏− 【 Ｊ 】

３７．久しぶりの地元の後輩 ページ37

「ちょっとー、潤？おつかいお願いできない？」


やることがなーんにもなくて、ウトウトしてるところに母さんの声。


　

おつかい？めんどくせっ。

そんなもん自分で行けよ。


　

寝返りうって寝たふりしてたら、体を揺すって起こされた。


　

「聞いてる？暇なんでしょ？寝てばかりじゃ体がなまるわよ？」

「・・・ったく、うっせーなー。
休みなんだから、寝てようと何しようと自由じゃねーか。」


クッションを股の間に挟み、

抱き枕のように抱えて再び寝ようとした俺を、

母さんは首根っこを掴んで起こした。

そして、俺の手のひらに強引に財布とメモを渡して、

「お願いね？」

と、作られた満面の笑みを俺に見せて俺のそばから去っていった。


　
だーーーーーっ！！

せっかく寝てたのに、何で俺が買い出しに行かなくちゃならねーんだ！！

髪をぐしゃぐしゃになるくらいかき乱して、腑に落ちない顔をしてみた。

数秒考えたけど、状況は変わらねー。

大きく背伸びをして、仕方なく出かける準備をすることにした。


　

「あちっ・・・。何なんだ、この暑さ。」


首に巻いてきたタオルで汗を吹きながら歩いてると、

買い出し先に向かう道中、


　

ドーーーーン ドンドーーーーン


　

と、内蔵に響くくらいの大きな太鼓の音が聞こえてきた。

練習場であろう倉庫の扉が開いてたから、チラリと興味本位で覗いた俺。

そっか、今度の祭りのための練習？


　

覗いた俺の視線に気づいた男が振り返り、

二度見して驚いた表情をし、

俺に向かって走ってきたんだ。

メガネをかけてない俺は、そいつが誰かがわかるまで時間がかかったけれども。

相手はすぐに俺と気づいたようで。


「松本くーーーーーーん！！」


持ってたバチを大きく振りながら駆け足で俺のところに走ってきた。


「え・・・、もしかして、大倉？」

「松本くんが何でここにおるん？卒業してすぐ地元出たって聞いたから。」

「今は夏休みで帰省中。お前は？・・・って格好を見れば和太鼓叩いてるってわかるか。」


　


大倉は俺の２個下の後輩。

関西から転校してきたコイツの面倒を見たのが俺だったんだよなー。

　

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