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「食堂で話した時、ちょっと様子が変だったんで、もしかしてとは思ったんですけど…あーあ、隈出来てるやんか…」
扉を大きく開いて招き入れれば、彼はどうも、と微笑み、部屋に入った。
お盆を近くの机に置くと、すぐに紅葉の元へ行き、寝息を立てる彼女を見てため息をこぼした。
『私も先程まで気づかなくて、食堂でお気づきになったのに、どうしてお止めにならなかったんです？』
紅葉が寝ているのを予測していたかのようだ。
横目でお盆に乗る一人分の朝食、どう考えても不自然だ。
彼女を抱き上げたチーノ君は、へらりと笑った。
…確かに、目が笑ってない。
光が無く、淀んだ瞳だ。
「さあ、何でですかね、その時は大丈夫だと思ったんじゃないでしょうか」
『様子が可笑しいと気づいていたにも関わらず、大丈夫と判断されるなんて…そんなこと、有り得ませんよね』
「…やだなぁ、僕だって心配して声はかけたんですよ、でも、紅葉さんが大丈夫だって言ったから、彼女の意思を尊重しただけです」
紅葉が怯える理由も分かる気がする。
言わずとも、踏み入ってはいけないぴりっとした空気。
…少し焦りすぎた、攻め過ぎたかもしれない。
『…ごめんなさい、あまり正確な思考を今持ち合わせてませんので、これ以上、何か失礼を働いてしまう前に』
「はい、そうさせて貰います、紅葉さんがご迷惑をおかけしました」
『いえ、こちらこそ』
開きっぱなしの扉をそのままに、彼が通りやすいように道を開ける。
彼が、あと一歩、足を進めれば部屋から出ると言ったところで、口を開いた。
「紅葉さんが言っていたこと、気にしないでください」
『…は？』
「最近夢見が悪いらしくて、寝不足なのもそのせいでしょう、きっと、精神的に疲れて、変なことを口走ってしまっただけですから」
『な、なにを…』
「お気になさらず、寝言とでも思っていてください」
いつから、何処からだ。
聞かれていた、その上、この人は記憶を消されていない。
これは、不味いんじゃないのか。
紅葉を、連れて行かせたら、駄目なんじゃないのか。
「…そんな睨まんといてくださいよ、誰も貴女の邪魔はしませんよ」
『…何の話でしょう』
「それだけ敵意向けといて何ですか今更、何で気づかれたんか知らんけど、紅葉さんが言っていたことは間違いではないんですよね」
『尚更何の話だか』
「干渉し合わない、これが一番でしょ」
彼女を引き戻そうと伸ばした手は、容赦なく払い除けられた。
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五千時(プロフ) - のんさん» コメントありがとうございます！凄く嬉しいです！励みになります〜！更新頑張ります！！ (2020年4月16日 19時) (
レス) id: 76bb208c06 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - このお話最高です！推理要素もあってとても楽しめます。今ある話まで一気読みしちゃいました笑更新頑張ってください！！ (2020年4月16日 18時) (レス) id: abc489c33a (このIDを非表示/違反報告)
五千時(プロフ) - Black Aliceさん» コメントありがとうございます！夢主以外の視点も書きます！近々その話が出ると思いますのでお待ち下さい！ (2020年4月13日 19時) (レス) id: 76bb208c06 (このIDを非表示/違反報告)
Black Alice(プロフ) - とても面白い小説に巡り会えたと心から思える程、面白かったです!1つ質問なのですが、夢主以外の視点は書いたりしますか？ (2020年4月13日 18時) (レス) id: 10501c80b3 (このIDを非表示/違反報告)
五千時(プロフ) - ゆうさん» コメントありがとうございます！いやぁぴくとさん黒幕で使うの夢だった…！更新頑張ります！ (2020年4月12日 22時) (レス) id: 76bb208c06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：五千時 | 作成日時：2020年3月30日 22時
