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「それでさ、その部下が」
「ああ、すまん、俺は抜ける」
「わしも」
「え、あ、ちょっと…」
話していたグルッペンとロボロが、食堂の扉が開いたのを見ると、一目散にそちらへ行ってしまった。
予想はできる、あの忌々しい悪役令嬢“ども”だ。
一度ならず二度までも、私の楽園を壊した、最低最悪な屑。
「…殺してやろうかな、あいつ」
特に気に入らないのは、グルッペンの婚約者であるあの女。
他の奴らは、ちょっと傷つけて、あの女を出しにすれば、簡単に掌の上で踊った。
なのに、なのにあいつは、全く動じない。
次は自分の番かもしれない、だなんて思ってもいない。
その上、助けようだなんて、何も努力せず生きてきた非力な女のくせに。
「ねえ、千里」
「あ、なに？ひとらん！」
「…雪菜の腕に痣ができてたんだけど、何か知らない？本人は、階段からバランスを崩して落ちたっていうんだけど」
「…知らないよそんなの、本人が階段から落ちたって言ってるんでしょ、ならそうなんじゃないの」
「そう、知らないならいいや」
そう言って、彼もすたこらと、女の元へと行ってしまう。
何で、どうして、私の楽園が。
こうやって、どんどん心が悲しみで満たされていく。
堪らない、私が、どんどん幸せな道を辿っているのを感じられる、この絶望の瞬間が。
この悲しみが、いずれ大きな幸せとなることを、私は、私だけが、知っている。
「…ああ、可哀想、今の内に、幸せを噛み締めておくことね」
名家で、その美貌だけでなく、気品までも手に入れたあの女は、確かに、男女共に惚れ惚れとするものがあるのだろう。
しかし、それがなんだ。
女なんて、若くても美しくても、一度傷ついて仕舞えば、壊れて仕舞えば、ただの役立たずにすぎない。
それこそ、私のような軍人でもなければ、即、ぽいだ。
「恨むなら、私に味方した“神様”と、私を敵に回した自分自身を恨むことね」
こちらを見たあの瞳と目が合う。
そう言えば、グルッペンが好きな色も、あんな他に染まることのない黒だったか。
…何処までも気に食わない女だ。
そして、あいつに触れられて照れているあの深緑の女も、羨ましそうな瞳を向けるその他の女も。
「全員、地獄で私の痛みを知ればいい」
さあ、復讐戦の始まりだ。
私の楽園を、奪い返しに行こう。
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五千時(プロフ) - のんさん» コメントありがとうございます！凄く嬉しいです！励みになります〜！更新頑張ります！！ (2020年4月16日 19時) (
レス) id: 76bb208c06 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - このお話最高です！推理要素もあってとても楽しめます。今ある話まで一気読みしちゃいました笑更新頑張ってください！！ (2020年4月16日 18時) (レス) id: abc489c33a (このIDを非表示/違反報告)
五千時(プロフ) - Black Aliceさん» コメントありがとうございます！夢主以外の視点も書きます！近々その話が出ると思いますのでお待ち下さい！ (2020年4月13日 19時) (レス) id: 76bb208c06 (このIDを非表示/違反報告)
Black Alice(プロフ) - とても面白い小説に巡り会えたと心から思える程、面白かったです!1つ質問なのですが、夢主以外の視点は書いたりしますか？ (2020年4月13日 18時) (レス) id: 10501c80b3 (このIDを非表示/違反報告)
五千時(プロフ) - ゆうさん» コメントありがとうございます！いやぁぴくとさん黒幕で使うの夢だった…！更新頑張ります！ (2020年4月12日 22時) (レス) id: 76bb208c06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：五千時 | 作成日時：2020年3月30日 22時
