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「城下町に行かないか」
驚きのあまり目を何度も開閉させる。
寝起きの頭では理解が追いつかず、首を傾げると、微笑みながらもう一度同じ言葉を言われた。
朝の５時、わざわざこんな早朝に、所謂デートのお誘い。
『…は、い』
「あー…すまんな、まだ眠いよな…昼過ぎに迎えに来る、動きやすい服に着替えていて欲しい」
『…わかりました』
「ははっ、いつもなら、こんな姿をお見せして〜、なんて恥ずかしがるだろうに…寝惚けた顔も好きだな」
髪を梳かすように撫でられ、満足したのか、今度は頬に指が触れる。
その感触が愛おしくて、つい擦り寄ってしまう。
働かない頭は、傲慢で、もっとを求める。
その指を自身の指と絡めて、にへらと笑って見せれば、驚いたような顔をして、グルッペン様の頬がほんのりと赤く染まる。
「…いいか、少しだけ」
『んふ、…はい』
両手を広げて、求愛を露わにする。
グルッペン様は顔をくしゃりと歪めて、私の首元に顔を埋めて、小さく息を吐いた。
可愛らしいなぁ、甘え方が子供みたい。
首にかけた腕を、その綺麗な髪や背中に回して、顔を上げた彼の瞳を見つめる。
「お前は、本当に…」
『怒ってます…？』
「…いや、むしろ喜んでるくらいだ」
『あは、っ、ん…』
揶揄うように笑うと、塞ぐように唇が重ねられる。
…足りない、そんなすぐに離れてしまわないで。
引き寄せて、こちらから唇を奪いに行けば、今度は全てを喰らうかのような激しい口付けが。
欲しい、この人が欲しい。
そんな欲に逆らうこともなく、私は彼の手を引き___
.
『___何をしてるんだ私はっ…！』
貴族とか令嬢とか関係なしに、前世のような、一般人の口調で後悔を吐く。
いくら寝惚けていたからといって、自制心がなかったわけではないのに、あんな、あんな、男の人を誘うようなことを…！
後悔すればするほど、頭の中にループするあの光景。
熱を持った息に、瞳。
そして、頭にこびりついて離れない、低く囁く声。
「…ん、…？」
『ぁ…お、おはようございます、グルッペン様…』
「ああ…おはよう、よく眠れたか？」
『はい、もう…それはぐっすりと…』
「そうか、ベッドに誘われた時はどうなるかと思ったぞ、ただの添い寝で終わって良かったな？」
『うっ…申し訳ありません…いつも、あんなことは…』
「お前が望むなら、いくらでも狼になってやるんだがな」
そうやって、楽しそうに笑うのは、狡い。
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五千時(プロフ) - のんさん» コメントありがとうございます！凄く嬉しいです！励みになります〜！更新頑張ります！！ (2020年4月16日 19時) (
レス) id: 76bb208c06 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - このお話最高です！推理要素もあってとても楽しめます。今ある話まで一気読みしちゃいました笑更新頑張ってください！！ (2020年4月16日 18時) (レス) id: abc489c33a (このIDを非表示/違反報告)
五千時(プロフ) - Black Aliceさん» コメントありがとうございます！夢主以外の視点も書きます！近々その話が出ると思いますのでお待ち下さい！ (2020年4月13日 19時) (レス) id: 76bb208c06 (このIDを非表示/違反報告)
Black Alice(プロフ) - とても面白い小説に巡り会えたと心から思える程、面白かったです!1つ質問なのですが、夢主以外の視点は書いたりしますか？ (2020年4月13日 18時) (レス) id: 10501c80b3 (このIDを非表示/違反報告)
五千時(プロフ) - ゆうさん» コメントありがとうございます！いやぁぴくとさん黒幕で使うの夢だった…！更新頑張ります！ (2020年4月12日 22時) (レス) id: 76bb208c06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：五千時 | 作成日時：2020年3月30日 22時
