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茶髪の彼女の顔はどんどん青ざめていく。
その顔を見て、私は思いついてしまった。
ここで逆に、美味しいと褒めれば、舌が可笑しい奴と思われ嫌われるのではないだろうか。
『…とても美味しいわ、貴女は本当にお菓子作りが得意なのね、尊敬するわ』
ごめんね、正直めちゃくちゃしょっぱい、顔引きつってるって自分でもわかるもん。
だが、嘘だとバレぬように二個目に手を伸ばし、唖然とこちらを見る彼女に笑いかけた。
そして、流し込むように紅茶を一口。
『この紅茶も美味しいわ、オスマン様の茶葉選びのセンスも勿論素晴らしいけれど、この茶葉の美味しさを、無駄なく引き出せるのは、やはりお茶を淹れる貴女の才能なのでしょうね』
これは本当だけど。
春の風に吹かれ、波紋を広げる紅茶を見つめ、カップを一撫でした。
これは、これはいいんじゃないの、私、ちゃんとした悪役やれているのでは！？
自信と期待を胸に顔を上げて、驚いた。
え、なに、その、羨望の眼差しは。
『ど、どうしたの、私、顔に何かついてる…？』
「いいえ、いつも通り綺麗なお顔です、A様」
『え、あ、ああ、ありがとう…』
「A様はどうしてそんなにも褒め上手なのですか、微笑みがまるで聖母のようです…」
『え、えぇ…？』
何故かほわほわと機嫌の良さそうな彼女達に疑問を抱くが、その答えとしてはあまり相応しくない言葉が返ってきて、さらに困惑してしまう。
だがしかし、楽しそうだからいいか、と笑って見せれば、一斉に顔を背けられてしまった。
え、何それ、悲しい。
私の笑顔はそんなに見てられないほど気持ち悪かったのか…。
「A、こんなところにいたのか」
『え、グルッペン様…！？どうかなさいましたか』
「ああいや、休憩がてらにお前の所に寄ったんだが…茶会でも開いているのか」
『はい、誘っていただいたんです、オスマン様がとても美味しい茶葉をくださったそうで』
「ほう、私にも一杯ご馳走してくれないか」
「勿論でございます、グルッペン様」
丁寧なお辞儀、ヒロインは何してても可愛いし綺麗だ、それに、お茶会の最中の雰囲気とは完璧に切り替えていて、流石外交官であるオスマン様の婚約者だ。
「…美味いな、ご馳走になった、オスマンに茶葉の種類を聞いておこう、今度はお前と二人でまったり飲みたい」
『私、紅茶を淹れるのは不得意です…』
「いいさ、一緒にいる為のただの口実なのだから」
心臓にクリティカルヒットなんですがそれは。
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五千時(プロフ) - のんさん» コメントありがとうございます！凄く嬉しいです！励みになります〜！更新頑張ります！！ (2020年4月16日 19時) (
レス) id: 76bb208c06 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - このお話最高です！推理要素もあってとても楽しめます。今ある話まで一気読みしちゃいました笑更新頑張ってください！！ (2020年4月16日 18時) (レス) id: abc489c33a (このIDを非表示/違反報告)
五千時(プロフ) - Black Aliceさん» コメントありがとうございます！夢主以外の視点も書きます！近々その話が出ると思いますのでお待ち下さい！ (2020年4月13日 19時) (レス) id: 76bb208c06 (このIDを非表示/違反報告)
Black Alice(プロフ) - とても面白い小説に巡り会えたと心から思える程、面白かったです!1つ質問なのですが、夢主以外の視点は書いたりしますか？ (2020年4月13日 18時) (レス) id: 10501c80b3 (このIDを非表示/違反報告)
五千時(プロフ) - ゆうさん» コメントありがとうございます！いやぁぴくとさん黒幕で使うの夢だった…！更新頑張ります！ (2020年4月12日 22時) (レス) id: 76bb208c06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：五千時 | 作成日時：2020年3月30日 22時
