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「とりあえずどれにするか澤村に伝えてこい。」
「はーい。
澤村さーん。」
澤村さんのもとに行くと菅原さんもいた。
「お、2人とも決めたか?」
「は、はい!」
「これです。」
そう言って私はこの重たいファイルを机の上に置き、地下鉄皇太子虐殺事件と大きく載っている新聞を指さした。
2人は私が指さす方を見ると苦笑いを零す。
まあ当たり前か。
犯人が生きててもおかしくてないし。
「いきなりこれかー……。」
「まず、校長がOKを出してくれるかが疑問だよなー。」
「だよなー。
これじゃ、死 人が出てもおかしくないし。」
2人が深刻そうな顔をしていると木兎さんが来た。
「ヘイヘイヘーイ!
どんなやつに決めたんだー?」
木兎さんはそのページを見る。
すると、みるみる木兎さんの顔から笑顔が消えていく。
「咲。」
木兎さんに真剣な眼差しをすると同時に周りの空気が一変した。
その事に吃驚したことを悟られないように笑顔を浮かべる。
「……何ですか。
あと今さり気なく私の名前呼びましたよね。」
そう言うと木兎さんは笑顔で答える。
「まあな。」
その一言だけ言うとまた木兎さんの表情が真顔に戻る。
「あのな、これは20年前の事件だ。
つまり、犯人が生きててもおかしくない。
もしかすると、この中で誰かが死 ぬかもしれない。
それがお前かもしれねーし、俺かもしれねー。
それでもいーのか?」
別にきっぱりはいって言えるけど、即答したらなんか失礼そうだし少し迷った感じに言お。
「……確かにこの中の誰かが死ぬかもしれませんね。
でもそれは他の人も一緒です。
警察の中では今でもこの事件を調査している人もいます。
その人が逃げてないのに、なぜ私達が逃げるんですか?」
本当はこんなこと思ってないけど、まあいいや。
今だけは20年間もこの事件のことを調査している父さんに感謝。
「……お前かっこいいな。」
「は、はい?」
「んーや、なんでもない!
お前のその言葉が聞けてよかった!
じゃあ咲!
校長に頼みに行くぞー!」
木兎さんが私の手を強く引く。
痛い。
痛すぎる。
手がちぎれるわ。
「え、仁花もじゃないんですか!?」
「あ、そうだった。
やっちゃんも行くぞ!」
「ひゃっ…ひゃい!」
あまりの気迫に仁花引いてるって。
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作者名:咲 x他1人 | 作成日時:2016年12月21日 2時