俺とあいつ (ページ12)

今日:8 hit、昨日:0 hit、合計:17,209 hit

電話ページ12

携帯に耳を近付けるとあいつの声が聞こえた。

『桜さん？聞こえますか？』

「聞こえてるよ…クソガキ」

『ｹﾞｯ、クソゲーマー野郎、何で？今、学校じゃ…』

「兄の言うことを聞かない何処かのクソガキを連れ戻しにきたに決まってんだろ？それに俺は今日は午前中だけなんだよ」

『ホームルームがあるだろ』

「大野さんに任せた」

『うわぁ、智くん可愛そー！こんなクズの変わりにホームルームをしに教室に行くなんて、しかも俺、さっき家に帰らねぇって言っただろ？』

「その理由を話せって言ってるの！」

話しながら、あいつの周りの音に耳を傾ける。
何となくおかまバーとか聞こえる気がする。

「お前…新宿の方に居ないよな？二丁目とか」

『い、いねぇし！』

「本当か？」

木下さんに歩こうと小声で伝え、新宿二丁目の方へ向かった。

「じゃあ、何処にいるんだよ？」

『だから、教えねぇって！』

「ふーん、嘘ついてないな？」

『ついてない！』

「本当に二丁目にいねぇな？」

『いない！』

その時、微かに聞こえる。お兄さんこっちによっていかない？という声。あいつ、私服なのか？新宿二丁目にいるとしたらやばいじゃないのか？

「木下さん、すみません、急ぎましょう！」

木下「え？え！？」

木下さんの手をひき走り出す。
あいつと会話しようと携帯を耳に近付けると

プープープー

「切れてる…」

舌打ちしたくなったが木下さんにこれ以上迷惑をかけられないと思い手を離した。

「木下さん、すみません。大丈夫ですか？」

木下「ハァハァ、大丈夫！それより翔くんは？大丈夫そう？」

「大丈夫だと思います！振り回してしまってごめんなさい。今度、連絡しますので」

木下「ううん、大丈夫！気にしないで！それより和くんのあんな口調初めて聞いたよ。翔くんの前だとあんな感じ？」

「…はい」

木下「私はうれしかったよ？和くんの新しい一面が見られて！また、会おうね！」

「木下さん…はい！今度はお茶でもしましょう！」

木下「それまでに翔くんと仲直りしてね！」

「はい、ありがとうございます」

木下「うん、またね！」

携帯を借りたままだったことを思い出し返すとと木下さんは元の来た道を戻って行った。