14話 ページ14
「貴方、ほんとに分かってるんでしょうね？」
スタスタとこちらに歩いてくる彼女。思わず恐怖で身を引いてしまう。
「ふ、怖がってるの？本当に臆病な子猫ちゃんね」
屋上の柵にもたれ掛かるまで追い詰められた__と思ったら、急に胸ぐらを掴まれる。グイッ、と私の制服を力強く締め付け、冷たい目で私を見下す。その目は容赦なく私を酷く冷たく見つめる。瞬きが何故か出来ない。怖くてただ見つめることしかできなかった。
すると佐藤さんは胸ぐらをつかんでいない方の拳をグッと握り、私へと殴りかかろうとする。
あ、殴られる。そう思い、目を瞑った。
……しかしいつまで経っても頬に痛みは襲って来なかった。ぱっと目を開けると目の前には緑のパーカー。
「俺のAに何してくれとん？」
そうゾムは吐き捨てると佐藤さんが殴りかかろうとした腕を無理やり引き離す。佐藤さんは後ろへと足をふらつかせ、私を睨みつけた。まだ殴られそうになった時の恐怖感が余韻を残し、手が震える。
「……なによ、ゾムくん。椎名さんと付き合ってたの？」
「うっさいわ。そんなんお前に関係ないやろ」
ゾムを横目でチラリと見ると、翡翠色の目はまるで深緑の様に冷たく佐藤さんを見下す。ゾムがこんなに怒るなんてとても珍しい。…佐藤さん、あなた敵に回す人を間違えたな。
「…っもういいわ。」
何よ！と言いながら憤怒した様子で帰る彼女。屋上のドアをガチャン！と大きく閉めるとドスドスと音を立てて階段を降りる足音が静かな屋上に響いた。
「はー、とんだ災難やったな、A」
『…ほんとだよ。』
カハハッ、と笑う彼につられ、私もはにかんで笑う。
本当に災難だった。…まあ、これで佐藤さんは当分私達に関わらないだろう。そう思うと安心して足の力が緩み、その場にしゃがみこむ。
そういえば。
『…ゾム、"俺のAに何してくれとん"って言った？』
ぴくり、と肩が揺れる。「な、なんのことや？」ととぼける彼。しかし額には汗を垂らしている。
『…とぼけても無駄！』
「え、えぇ…」
困惑の表情を浮かべるゾム。するとゾムは少し照れながら「なんか咄嗟に出たねん」と答える。
……ふうん、ゾムも照れるのか。面白いものを見られた気がする。
「何ニヤニヤしとんねん！」
『別に？』
なんやとー！と逃げる私を追いかける彼。捕まえられそうになるのを上手くかわし、謎の追いかけ合いが始まる。
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マリアナ(プロフ) - めっっっっっちゃ好きです……zmさんの夢主と女の子に対するギャップとかが最高でもう心臓が締め付けられました……素敵な作品ありがとうございました…！！！！ (2022年8月27日 23時) (
レス) @page5 id: 0cfc9bf7e7 (このIDを非表示/違反報告)
える＠脅威推し - ベタだけど最高。尊い (2022年5月26日 2時) (レス) @page23 id: b73a7fac54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月麦 | 作成日時：2022年4月28日 18時
