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純白 ページ22

歩道に転がる石を蹴飛ばしながら歩く学校からの帰り道




1週間前に退院してからというもの、親戚一族からの当たりはさらに強くなり、あの家には深夜から早朝までの数時間 寝るためだけに足を踏み入れる生活が続いている




・・・昨日あの絡んできた奴らにお返しもしたし、しばらくは暇つぶしの為に学校に行くしかないか




大きな窓ガラスに反射した自分の姿をなんとなく見ているとその奥にあの顔が見えた




『あ・・・』




あの日から1度も病室に来ることがなく、返せなかった白いハンカチはちょうどカバンの中に入っている

確か同じ学校だと言っていた気がして
校内で見かけたらその時に返せば良いと思って持ち歩いていたが、通りすがりで返せるならそれがベストだ




喫茶店のドアを開けて中に入ると以前と同じく男性店員がニコリと笑って出迎えた




「いらっしゃいませ、・・・おや、貴方は確か灰谷さんでしたよね?お久しぶりです」




名乗った覚えのない人物に呼ばれ、更に久しぶりなどと挨拶をされ思わず怪訝な表情を浮かべてしまう

慌てて「彼女たちに聞いた」「不快な気持ちにさせてしまったら申し訳ない」と言いメニューを持ってこようとした店員を止めた




『食事しに入ったわけじゃない、すぐ帰る』




キョトンとするソイツを放って奥の席に向かい合って座る2人組の元へスタスタと足を進める

会話に花を咲かせている彼女たちは未だに私に気づく気配がない




「でも今朝のニュースびっくりしたよね」
「不良グループ全員意識不明で倒れてたってやつ?」
「それそれ!鉄パイプで殴られたって言ってたよ」
「ホーント物騒な事件多すぎ・・・」




脳内で“もうやめてくれ”とボロボロの姿で縋ってきた奴らをぼんやりと思い返す

アイツらすぐ意識飛ばすから反応無くてつまんなかったな、なーんて



『ねえ』




声をかけると彼女たちは私を見るなり目を丸くした




『これ、返す』
「あ!このハンカチ!無くしたと思ってた!」




白いハンカチを差し出すなり顔を明るくした彼女にそれを渡し、さっさと出ようとくるりと方向転換をする




「まって!」




手を掴まれるが、無視して前に進もうとするとすごい力で阻止される

チラリと後ろを見れば笑顔を浮かべる女と何してるんだとでも言いたげな顔のカチューシャ




え、全然この手から抜け出せないんだけど
座った状態の腕1本で私の動き止めてんの??
マジでどうなってる訳?なにこれ???

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おはよ - 更新してくださいぃぃぃぃ (2023年1月19日 20時) (レス) @page23 id: f100e4cf09 (このIDを非表示/違反報告)
若葉 - 題名を見た瞬間にはもう話を見ていた…… (2022年8月15日 8時) (レス) id: 6c9eae5177 (このIDを非表示/違反報告)
秋吉(プロフ) - 東リベ好きにはたまらないコラボですね。始終表情筋緩みっぱなしで読んでました笑 (2022年8月10日 18時) (レス) @page23 id: 9284e42836 (このIDを非表示/違反報告)
七巳流 - 東リベ見た事ないですが、とても楽しみにしてます。 (2022年7月27日 18時) (レス) id: bff6de7ecd (このIDを非表示/違反報告)
toratora10(プロフ) - コナン再会したら主に尋問盗聴発信器と沖矢プラスになりがち (2022年7月17日 10時) (レス) @page23 id: d5d529a22f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りあ | 作成日時:2022年6月22日 15時

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