鏡の中 ページ2
私は鏡の中に入ってしまったようなのだ。
浮遊感。
そして、衝撃。
トツ、と軽い音を立てて、着地。
一瞬遅れて周囲がざわめいていることに気づいた。
私のせいかと思ったら、そうじゃない。
もっと何か、命の危機を感じているような緊迫したざわめきだ。
「何が起こった…?!」
「建物から出られないの…?」
「出入り口が爆破されたって…。」
…もっとファンタジックな世界じゃないのか。鏡の向こう側ってのは。
どうしたらいいのかな。
この建物から出ることもできないならもっと安全な所を探すしか…
ここはパーティー会場かな。
ドレスやスーツの人々ばかり。
安全な場所…トイレとか?
案外このパーティー会場も安全かもしれない。
…
《主人公なら止めるんじゃないの?》
…
…何を?
何のことだか分からない。
…あなたは誰?
どこにいるの?
瞬間。
建物全体を揺らすような揺れと、轟音と、サイレンが混ざり合った。
爆弾。
止めなきゃいけないのは爆弾だ。
一瞬で理解した。
止められるか。
いや、止めろ。
行くべきは…
「最上階…。」
アリスは駆けてゆく。
何を追いかけて?
♠♢♡♧♤♦♡♧♤♢♥♧♤♢♡♣
人の間をすり抜け、エレベーターに乗り込んだ。
最上階は…20階。
20階のボタンを押すと、ほわりと淡い光がランプに灯った。
急がなければ…早く閉じ
「お姉さん開けて!」
飛び乗ってきた小さな存在に、エレベーターがのろく口を開いた。
タキシード姿の、それは慧眼の少年。
江戸川コナン。
鏡の裏には名探偵コナンの世界が広がっていたのだ。
驚きで固まってしまう。
固まる私をよそにエレベーターはぎこちなく動き出す。
「お姉さん、その格好は…」
彼が私に話しかけた。
そこで初めて気付いた。
私が着ているのは、フリルと青のエプロンドレス。
髪は、染めたとは思えない綺麗な金髪。
アリスそっくりだったのである。
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