あたため過ぎにご注意ください（青)

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「おかえりー！！！」


玄関から飛び出さんばかりの勢いで迎えてくれたしょーたは、

まさにご主人様の帰りを待っていたワンコそのもので。


千切れんばかりに振られる尻尾が見えそうな、久しぶりのワンコしょーたに初っ端から癒される。




「ーーただいま…？」



いつもと逆のシチュエーション、しかもまだ慣れないしょーたのうち。


恥ずかしさやら緊張やらは勿論隠しきれないのだけれども、



「んーっ、久しぶりのAちゃんの生声やぁ。

てか、生Aちゃんやぁ…」


って本当に嬉しそうな笑顔であたしをその腕に迎えてくれるから、

耳元で聞こえるその優しさ声とか、匂いとか、体温とか、

久しぶりの生しょーたの前では、そんな余計な感情に構っている暇はなくて、


じわじわーって、

心と身体の隅々まで、あったかくて幸せな何かが満たされる。




そうしてしばらくしょーたの甘さをチャージすると、今度は別の欲求が疼きだすのが人間の性。



「ーーすごい良い匂いする…お腹空いた…」


抱きしめられた腕の中、いつものしょーたの匂いを搔き消す勢いで漂う、スパイシーな香りにキュルキュルと反応する素直なお腹の虫。



「すぐ準備するから、手ぇ洗っといで〜。」



いつものあたしの台詞を真似するみたいに言いながら、デニム生地のシンプルなエプロンの紐を揺らしてキッチンに向かう後ろ姿の可愛さよ…









手を洗って、しょーたが用意してくれた部屋着に着替えてリビングに戻れば、

テーブルの上にはカレーとサラダとスープという立派な夕食が準備されていた。



「美味しそう！」


タコパ以来のしょーたの手料理に感動しながら席について、


「おれ、カレーは得意なんよ！」


って可愛いドヤ顔で、既にスプーンを片手にスタンバイしたしょーたを見ながら、




ーー新婚さんかよっ！！



とか思わず妄想してしまうのは仕方がないと思う。


誰もあたしの頭の中を覗かないでねっ、

と願わなければならない程度に甘々な妄想を振り払いつつ、口を付けたカレー。








「・・・・

ーーあの、しょーたくん…？


尋常じゃなく辛い気がするのは、気のせい…？」




あたし辛いのは苦手じゃないよ？

むしろ好きだよ？

だけど…







「おん、Aちゃん辛いの好きやから、ココイチのレベル8を目指してみたんよ〜」



キラキラした目でそう言われたら、



鼻の下から汗が吹き出そうとも、舌の先が痺れようとも、



完食するしかないでしょう！

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