あたため過ぎにご注意ください（青)

年齢確認 ページ1

“安田 章 大”

初めてその名前で検索をかけた時、ウィキペディアを何度見したことだろうか。



「ーー３３歳って…」


歌手、俳優、ジャニーズ事務所所属…

そんなきらびやかな肩書きよりも、何よりも、驚いたのは彼の年齢。

何度見返しても、その生年月日も年齢も、見間違いなんかじゃなくて。

何なら公式ホームページとやらまで確かめに行ったけれど、その記載は変わる事はなくて。

「ーー歳上ってこと…？」

しかも出会った時、すでに三十路だったと言うのか？！


恐るべし、芸能人…




「しょーたくん？
しょーたさん？
しょーくん？
しょーさん？

ーーどれがいい？」

正直、今更どれもしっくりくるはずもない。

それでは、本人の希望を聞いてみるとしよう。

「ほえ？
どうしたん？急にぃ。

どれがいいって、今まで通り、しょーたでええやん？」

どっから出た？って言う気の抜けた返事も、

定位置のソファの下に座って、あたしを振り返るその顔も、

こてん、と首を傾けて、不思議そうに見上げてくるその目も、

出会った時から変わらない可愛さなのに。

「ーー３３歳…」

やはり信じ難い。

思わずその頬を摘んでみれば、

「なぁにぃ、もぉ。

おっちゃんを呼び捨てするんはあかん思ったん？」

よいしょっ

なんて掛け声をつけながら、ソファの隣に移動して、いたずらっ子みたいな顔で今度はあたしの頬を突いてくる。

「ほんなら、章 大さんって呼んでみてぇ？」

可愛くおねだりされたけど、

何故だろう。

自分から言い出したのに、改めてちゃんと呼ぼうとすると、急に恥ずかしさが込み上げてきた。

ホレホレ〜

なんて余裕の笑顔のワンコに急かされて、

「ーーしょう、た、さん？」

どうにか呼んでみたけれど、やっぱりしっくりこないし、なんか声は上擦っちゃったし。


「やっぱり！しょーたのままでいいね！」

誤魔化すように取消し宣言をしたのに、

クルリと反転する視界と、背中に感じるソファの感触。

だから！

この体勢に持ち込むのが上手すぎるのが嫌なんだってば！


恨めしく思って見上げれば、

「たまにはそーいう感じも、ええなぁ。」

なんて言いながら見せたその笑顔はまさしく…


「ーーエ ロおやじっ」

あたしの悪態は簡単に甘いキスに閉じ込められた。


「ーーほな、期待応えて、エ ロいことしよか？」


耳元に落とされる少し意地悪な低い声に、実はときめいてしまったことは、

悔しいから絶対に言わない。

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