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名古屋に着く少し手前、
『仕事終わったから迎えに行くわ』
彼から届いたメッセージ。
最近では先に家まで行って、仕事で遅くなる彼の帰りを待つのが普通になっていて、こんな風にお迎えの連絡が来ることなんてなかったから、
なんだかソワソワして、少しむず痒くて、
初めて彼に会いに新幹線に乗ったあの日を思い出す。
だけど、嬉しい気持ちの反面、
どうして今日に限って…
なんて捻くれた気持ちもあって。
膝の上にはちっともページを進めていない小説。
結局、ぐるぐると巡る思い出や感情に浸って１時間半も過ごしていた。
ちゃんと心を決めてこの新幹線に乗り込んだはずなのに、
今日だけは、どんどん通過して行く駅を縋るような思いで見送ってきた。
どうやらこの後に及んで怖気づいているようだ。
フッ…
と思わず漏れた自嘲気味な息を掻き消すように、名古屋への到着を知らせるアナウンスが流れた。
新大阪まで、あと５０分。
もう開き直って、思いっきり浸ってやろうかしら？
読み進められそうにない膝の上の小説は潔くバッグにしまい、
イヤホンの音量を少し下げて、
目を閉じた。
「信五の部屋って、なんでこんなに片付いてるの？」
まだ毎週末を彼の家で過ごしていた頃、忙しいはずなのにいつ来ても綺麗に片付けられていることに文句を言った。
「余計なもん置かな、きたなならんやろ。
飯も基本外で食うから、そない汚れることないしな。」
何ブータレとんねん、と呆れた顔であたしを見る彼に、
「彼氏が一人暮らしだったら、やっぱり部屋の掃除したり、ご飯作ったりしてあげるのが良い彼女って感じするじゃない。」
今更だが、面倒くさい事を言っていたな、と思う。
「阿保、別に��良い彼女��とかどうでもええわ。」
案の定、彼はやっぱり呆れた顔でそう言った。
「そんなんしてもらいたくて、お前とおるわけとちゃうやろ。」
それから、穏やかな顔をしてそんな一言を付け加えた。
今でも、その表情も、声も、こんなに鮮明に思い出せる。
あの言葉が、どれ程嬉しかったか…
彼は分かっていたのだろうか。
だけど、いつしか、あたしの方が分からなくなってしまったのだ。
あなたがあたしといる理由が。
いつからかあたしは、
あなたの隣にいるための理由を探していた気がする。
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まめまめた(プロフ) - まゆまゆさん» まゆまゆさん☆せっかくリクエストいただいたのに随分遅くなってしまってすみません(;´д｀)読んでいただけてヨカッタ〜( ´∀｀) (2020年5月31日 11時) (
レス) id: a925dd1186 (このIDを非表示/違反報告)
まゆまゆ(プロフ) - リクエストにお応えしてくれてありがとうございました。此方に感想失礼します。読みました。とてもお話が面白くてお二人の様子が可愛らしくてお話の中だけど幸せになって欲しいと思ってしまいました。これからも頑張ってくださいね。 (2020年5月30日 1時) (レス) id: 381d27e867 (このIDを非表示/違反報告)
まめまめた(プロフ) - 美波さん» 美波さん☆コメントありがとうございます！幸福論はいつもとテイストが違いシリアス強めな作品ですが、私自身も気に入っているお話なので、大好きを頂けてとっても嬉しいです( ´∀｀) (2020年5月22日 10時) (レス) id: a925dd1186 (このIDを非表示/違反報告)
まめまめた(プロフ) - まゆまゆさん» まゆまゆさん☆お返事遅くなってすみません(＞人＜;)横山君のお話、実は私も書きたかったのですが、もう話数がいっぱいでアップ出来ず…かと言って別の短編集に突っ込むのもいきなり過ぎるし…と困っております(;´д｀)どこかに置き場が出来たら書いてみますね！ (2020年5月22日 10時) (レス) id: a925dd1186 (このIDを非表示/違反報告)
美波(プロフ) - 初めまして。いつも作者さんの作品たくさん読ませていただいてたのですが、初めてコメントします！好きなお話沢山あるんですけど、このコトノハの幸福論が本当に大好きで何回も読み直してて、伝えずにはいられなくなりコメントさせてもらいました^ ^ (2020年5月22日 2時) (レス) id: 2630bc6126 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まめまめた
| 作成日時：2019年12月14日 17時
