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「ーー違ってたらごめんやけど…もしかして浅井ちゃんって、木村のこと、好きやった…？」
同期会の帰り道、駅までの道で二人きりになったタイミングで遠慮がちにそう聞かれたのが、あたし達の始まりだった。
「ーーえ、、」
思いもよらないところから、思いもよらないボールが飛んで来たようなもので、
あたしはうまく返事も出来ず、丸山くんの顔を見上げていた。
多分、口は半開きで眉間にシワも寄って、随分と不細工な顔になっていたと思う。
「あっ、や、余計なこと言うたよなっ、、
ほんま、ごめんっ
ーーケド、もし、そうなんやったら、俺も仲間やなぁって思って…」
あたふたと早口で謝った後、切なげに微笑んで言ったその言葉で、
丸山くんが誰を想っているのか、十分過ぎるほど伝わってきた。
「ーーやっぱり、ユミちゃんのこと、好きだったんだね…」
その日の飲み会では、同期の木村くんとユミちゃんが交際宣言をし、大盛り上がりだったのだ。
丸山くんがユミちゃんに好意を持っていることは、前々から何となく気付いていた。
フェミニストでみんなに優しくて、そしていつもみんなを笑顔にさせてくれる丸山くんだけど、
気が強くてしっかり者のユミちゃんに弄られると、いつも顔を真っ赤にして、だけど嬉しそうに、
「もう、ユミちゃんには敵いまへんわぁ。」
って笑う丸山くんを、
楽しそうな二人を、いつも羨ましいと思っていた。
ーーそう、あたしはずっと、丸山くんを見ていたから。
それなのに、どうしてこうなってしまったのか…
「さっき、浅井ちゃんも泣きそうになってたやろ？
それで、もしかしたらって思ったんよ。
ーーお互い、しんどいなぁ…」
それは、完全に丸山くんの勘違いで、
あたしはただ、あなたの気持ちを思って苦しくなっただけ。
その反面、あなたの失恋を喜んでいる自分の真っ黒な感情に苦しくなっただけだった。
だけど、丸山くんの手が優しくあたしの頭に触れたから。
慰めるように覗き込んできた優しい瞳の奥の切なさが、どうしようもなく愛しくて…
「ーーうん、しんどいね。」
その言葉に、嘘はなかった。
だけど、その言葉の意味が正しく伝わらないと分かっていながら言った。
こうして丸山くんはあたしに対して��お互いの恋敵に失恋した者同士��という奇妙な仲間意識をもち、
それまであまり接点がなかったあたし達は、
この日を境に距離を縮めた。
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まめまめた(プロフ) - まゆまゆさん» まゆまゆさん☆せっかくリクエストいただいたのに随分遅くなってしまってすみません(;´д｀)読んでいただけてヨカッタ〜( ´∀｀) (2020年5月31日 11時) (
レス) id: a925dd1186 (このIDを非表示/違反報告)
まゆまゆ(プロフ) - リクエストにお応えしてくれてありがとうございました。此方に感想失礼します。読みました。とてもお話が面白くてお二人の様子が可愛らしくてお話の中だけど幸せになって欲しいと思ってしまいました。これからも頑張ってくださいね。 (2020年5月30日 1時) (レス) id: 381d27e867 (このIDを非表示/違反報告)
まめまめた(プロフ) - 美波さん» 美波さん☆コメントありがとうございます！幸福論はいつもとテイストが違いシリアス強めな作品ですが、私自身も気に入っているお話なので、大好きを頂けてとっても嬉しいです( ´∀｀) (2020年5月22日 10時) (レス) id: a925dd1186 (このIDを非表示/違反報告)
まめまめた(プロフ) - まゆまゆさん» まゆまゆさん☆お返事遅くなってすみません(＞人＜;)横山君のお話、実は私も書きたかったのですが、もう話数がいっぱいでアップ出来ず…かと言って別の短編集に突っ込むのもいきなり過ぎるし…と困っております(;´д｀)どこかに置き場が出来たら書いてみますね！ (2020年5月22日 10時) (レス) id: a925dd1186 (このIDを非表示/違反報告)
美波(プロフ) - 初めまして。いつも作者さんの作品たくさん読ませていただいてたのですが、初めてコメントします！好きなお話沢山あるんですけど、このコトノハの幸福論が本当に大好きで何回も読み直してて、伝えずにはいられなくなりコメントさせてもらいました^ ^ (2020年5月22日 2時) (レス) id: 2630bc6126 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まめまめた
| 作成日時：2019年12月14日 17時
