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あたしの言葉に、繋がれていた忠義の手から力が抜けたように感じた。
あたしは忠義を追いつくように一歩前に出て、隣にならび、
そして、
ギュッと強く、その手を結び直して、
「ーー引っ張ってくれなくていいよ。
あたしは忠義の隣に並んで、ちゃんと一緒に歩くから。」
真っ直ぐに、忠義を見つめて伝えた。
ごめんね、ずっと気付かずにいた。
あなたも沢山の苦しみや痛みを抱えてきたこと。
忘れていた。
あなたにとって彼がどれだけ大切な存在だったのか。
大切な親友を失ったあなたが、どれほど悲しんで、どうやってそれを乗り越えたのか、
あたしは何も知らない。
何も見ていなかった。
あなたが流した涙を、あの頃のあたしは見ようともしなかった。
きっとあなたは、一人で歯を食いしばって立ち上がって、そしてあたしを救いに来てくれた。
本当にごめんね。
そして、ありがとう。
だからもう、ここからは、一人で頑張らないで。
一緒に、頑張ろう。
「ーーAの短い脚で俺と一緒に歩こう思ったら、めっちゃ早歩きせなあかんで…？」
相変わらず可愛くないことを言うその口は、だけど嬉しそうに笑っていて、
その声は少しだけ震えていた。
「そこは多少、あたしにあわせてよ。
忠義の脚が無駄に長すぎるんだから。」
つられてあたしも、笑いながら、少し声が震えた。
「ーー俺もたまには立ち止まったり、寄り道したるから、遅れんとついてきてや？」
そう言って、繋いだ手に力を込めた後、
忠義は大きく空を仰いだ。
つられて仰ぎ見た空は、
やっぱり眩しいくらいに青かった。
「一つだけ、約束して？
あたしよりも、絶対に長生きしてね…」
なんと健気なお願いか。
「それは無理やな。
俺のが先にあっちに行くって決めてんねん。」
だけど、忠義はそれをいとも容易く却下した。
「はぁ？何でよっ。」
「先に行って話つけとかな、アイツにA取られてまうやん。」
「ーーカズキに頼まれたら、断れないくせに…」
「アホ。譲られへんもんもあるわ。」
「…どうせ、ジャンケン勝負とかでしょ…？」
「平和的解決でええなぁ。
それか、Aが来てからグーとパーで決めたらええか！」
「…それ、絶対あたしが一人になるパターンのやつだし。」
あっはっはっ、と大きな口で笑う忠義につられて、
あたしも笑う。
眩しい青空の下で。
＊完＊
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まめまめた(プロフ) - まゆまゆさん» まゆまゆさん☆せっかくリクエストいただいたのに随分遅くなってしまってすみません(;´д｀)読んでいただけてヨカッタ〜( ´∀｀) (2020年5月31日 11時) (
レス) id: a925dd1186 (このIDを非表示/違反報告)
まゆまゆ(プロフ) - リクエストにお応えしてくれてありがとうございました。此方に感想失礼します。読みました。とてもお話が面白くてお二人の様子が可愛らしくてお話の中だけど幸せになって欲しいと思ってしまいました。これからも頑張ってくださいね。 (2020年5月30日 1時) (レス) id: 381d27e867 (このIDを非表示/違反報告)
まめまめた(プロフ) - 美波さん» 美波さん☆コメントありがとうございます！幸福論はいつもとテイストが違いシリアス強めな作品ですが、私自身も気に入っているお話なので、大好きを頂けてとっても嬉しいです( ´∀｀) (2020年5月22日 10時) (レス) id: a925dd1186 (このIDを非表示/違反報告)
まめまめた(プロフ) - まゆまゆさん» まゆまゆさん☆お返事遅くなってすみません(＞人＜;)横山君のお話、実は私も書きたかったのですが、もう話数がいっぱいでアップ出来ず…かと言って別の短編集に突っ込むのもいきなり過ぎるし…と困っております(;´д｀)どこかに置き場が出来たら書いてみますね！ (2020年5月22日 10時) (レス) id: a925dd1186 (このIDを非表示/違反報告)
美波(プロフ) - 初めまして。いつも作者さんの作品たくさん読ませていただいてたのですが、初めてコメントします！好きなお話沢山あるんですけど、このコトノハの幸福論が本当に大好きで何回も読み直してて、伝えずにはいられなくなりコメントさせてもらいました^ ^ (2020年5月22日 2時) (レス) id: 2630bc6126 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まめまめた
| 作成日時：2019年12月14日 17時
