side 安田 ページ36
「何やったっけなぁ、もぉ忘れてもーた。」
嘘。
文句言いたいこと、あってん。
けど、今こうして手ぇ繋いで、なんや照れたような顔をしたキミの隣を歩けてるだけで、
今ごちゃごちゃと昔話しなくてええかなぁ、て。
まぁ、そのうち、教えたるから。
「工藤せんせーい、レポート持ってきたでぇ？」
大学一年の終わり頃、レポートの提出期限に間に合わへんくて、数日遅れで提出に行った先生の部屋で、
「っあ、ごめんねっ」
俺がドアを開けたタイミングで中から出てきたリクルートスーツ姿の女の人とぶつかりそうになって、
彼女は小さく謝った。
その声が、少し震えていて、
ぶつかった視線がどこか不安定で、
そのまま早足で去って行った彼女の後ろ姿を、しばらく目で追っていた。
それが、Aさんとの出会いやった。
格好からして、三年生やろうか？
就活うまくいってへんくて、相談に来てたんかな？
なんて事を想像して、
自分も２年後には、髪を黒く染めて似合わへんスーツ着て、歩き回らなあかんのか…
と、少し憂鬱になった。
ただ、それだけの出来事やった。
二度目に会ったのは、それから数ヶ月後。
「工藤先生、おめでとー！！」
二年で入ったゼミの先生の結婚が決まって、二、三年生を中心にお祝い会が開かれた。
そこに現れたのが、Aさんやった。
「ごめん、遅れた！
もうだいぶ出来上がってる？、」
「あー、A！
私服姿見るの久々過ぎて違和感だわ笑」
「就活どうっすか？」
遅れて店に現れた彼女に三、四年生達が次々に声を掛けた。
「実は本日…無事に内定を頂きましたー！！」
無邪気な顔でピースサインをする彼女と、
「良かったなぁ！
工藤先生んとこへの永久就職の夢が断たれた今、お前の将来だけが気掛かりだったよ。」
大袈裟に肩を組みに来た四年生らしき男に肘打ちを喰らわせながら、
「余計なお世話じゃ！
でも、折角のあたしの内定のお祝いの日に、結婚をブッ込んでくるあたり、先生もひどいですよね…」
彼女も泣き真似をしながら、先生をからかった。
先生は苦笑いしながら、
「ともかく、内定おめでとう！」
と彼女の肩を叩いた。
そのやり取りから、彼女が工藤先生を狙っていた、と言うのが公然のネタであることがわかって、
事情をよく知らない二年生も、そのノリに笑っていた。
だけど俺は、
何となく笑えなくて、
彼女の表情を見つめていた。
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まめまめた(プロフ) - yuki sさん» yuki sさん☆コメントありがとうございます！きゅんきゅんお届け出来て良かったです( ´ ▽ ` ) (2019年8月1日 10時) (
レス) id: 955d73cb24 (このIDを非表示/違反報告)
yuki s(プロフ) - 可愛かったです！きゅんきゅんしました (2019年7月31日 21時) (レス) id: 420ff5d14c (このIDを非表示/違反報告)
まめまめた(プロフ) - まあこさん» まあこさん☆読んでいただけて良かった〜リクエストにお応えして書くが初めてだったので、こんな感じでいいのかなぁ？と一人でドキドキしておりました(￣▽￣;) 楽しんでもらえたなら幸いデス(´∀｀=) (2019年7月29日 17時) (レス) id: 955d73cb24 (このIDを非表示/違反報告)
まあこ - 以前にリクさせて頂いた者です！書いて下さりありがとうございます！更新が上がってるのを見てもしや！とテンションが上がり、読ませて頂いて胸がドキドキして1人で悶えさせて頂きました！(笑)悶々とする安田くんほんとに最高でした！めちゃくちゃ嬉しいです！ (2019年7月29日 13時) (レス) id: 33083b39c7 (このIDを非表示/違反報告)
まめまめた(プロフ) - ブルームーンさん» ブルームーンさん☆いよいよ大阪はじまりますねっ！たーっぷり愛を受け止めてきてください(≧∀≦) ちなみに私は自分史上最高の席で受け取った愛の余韻からまだ抜け出せてません(〃ω〃)笑 (2019年7月27日 7時) (レス) id: 955d73cb24 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まめまめた
| 作成日時：2019年6月12日 10時
