・ ページ25
まだこれから熱が上がっていくであろう気配を感じながら、今のうちにやるべき事を済まさねば。
と、マスクをして各部屋の窓を開けて換気をし、シーツを交換して、カーテンやソファーにファブリーズを振りかけた。
(気休めかもかもしれないけど、一応��除菌��ってかいてあるしね。)
容赦なく部屋に入り込む冷気に震え、ファブリーズの匂いに逃げ惑うチーちゃんに、
「ごめんねっ、ちょっとだけ我慢して！」
と謝りながら、どうにかこうにか除菌作業を終えたはいいが…
「あたしがここにいたら、意味ないよね…」
根本的な問題にぶち当たった。
こんなピンチの時に真っ先に思い浮かんだのは、
就活を終え、卒論も書き終え、バイトに勤しみつつ彼氏の家に入り浸り状態の我が妹の顔。
「…もしもしぃ？」
電話を掛ければ、どう聞いても寝起きな声がお出迎えしてくれたから、
「マキ〜っ、一生のお願いだから、お姉ちゃんを助けてぇ…」
全力で泣きついた。
「ーー信五さんにはうつすわけにいかないけど、あたしにはうつしても構わない、と？」
「そう言う訳じゃっ…でもマキは彼氏んちにしばらく避難させてもらえるんでしょう？」
事情を話して転がり込んだ妹の家。
勝手なのは重々承知、本当に申し訳ないとは思っているよ、と頭を下げれば、
納得いかないんですけど？と仏頂面ながらも、
「病院、まだ行ってないんでしょう？
ついていってあげるから、さっさと行くよ！」
と世話を焼いてくれるのだから、本当に良く出来た妹だ。
そうして、妹に迷惑を掛けながらも、どうにか避難場所を確保し、病院で晴れてインフル認定を貰った。
そしてようやく妹のベッドに倒れ込んだ時には、ガッツリ熱も上がっていた。
「おぉ、38.7度。上がってきたねぇ。」
体温計を覗き込んで他人事のように呟く妹に、
「、、もう限界…本当にありがとうね…
うつすといけないから、もう行って。
彼氏にも宜しく伝えといて…」
息も絶え絶えお礼を言いい、意識を失うように眠りについた。
途中何度か這うようにトイレに行く以外、スマホに手を伸ばす気力もなくベッドに沈んでいた。
そして明け方近くに目が覚めて、枕元のスマホを見れば、
『旅行てどこ行っとるん？』
彼からのメッセージが届いていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1310人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まめまめた(プロフ) - 渡璃凛さん» 渡璃凛さん☆はじめまして！コメントありがとうございます！文才なんて恐れ多いっ( ；´Д｀)誤字脱字だらけののろのろ更新ですが、引き続きよろしくお願いします(^^) (2020年9月9日 13時) (
レス) id: a925dd1186 (このIDを非表示/違反報告)
渡璃凛(プロフ) - 初めまして！更新めっちゃ嬉しいです！その文才本当にリスペクトしております、、！更新頑張ってください！！ (2020年9月5日 14時) (レス) id: d9624783f4 (このIDを非表示/違反報告)
まめまめた(プロフ) - ブルームーンさん» ブルームーンさん☆パワーワード笑確かに！笑 (2020年7月13日 12時) (レス) id: a925dd1186 (このIDを非表示/違反報告)
ブルームーン(プロフ) - こんにちはm(_ _)m「章ちゃんの相方ちゃん」…なんてパワーワード…呼ばれたい…(ストーリーの主旨と離れててすみません) (2020年7月5日 22時) (レス) id: a475b78d7e (このIDを非表示/違反報告)
まめまめた(プロフ) - あーばるさん» あーばるさん☆コメントありがとうございます！他の作品も読んでいただいているとは、有り難し( ´∀｀)今のところ丸山さん出番少ないですが、ここから出番が増えますので、お楽しみいただけるようがんばります！ (2020年7月5日 19時) (レス) id: a925dd1186 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まめまめた
| 作成日時：2020年1月28日 14時
