・ ページ13
「さっきから何をごちゃごちゃ言うてるん？」
数歩前にいた忠義は、そう言いながら近づいてきて、そして目の前に立って、あたしの顔を覗き込んだ。
そうしたら、流石にお互いの表情も見えてしまうわけで…
怒っているのかと、苛立っているのかと思っていたのに、
「ーー何で、そんな情けない顔して、俺から離れようとしてるん…？」
あたしの頬を両手で優しく挟むようにして、そんな事を言う忠義の顔は、
びっくりする程、優しくて、
だけど少しだけ、困っているようにも見えた。
「っ、忠義こそ、、何でそんな顔してるのよ…」
意味が分からない、はこっちのセリフだ。
「ん？俺、どんな顔してるん？」
揶揄うようにニヤリと笑ってみせるくせに、何でそんな優しい目をしているのよ…
混乱と、よく分からない悔しさとで、視界が滲んでくるのを隠したいのに、
頬を挟む大きな手に阻まれて下を向く事も出来ない。
「ちょっ、だから何でそんな顔するんっ？！」
そんなあたしに気付いて、慌てたように顔を近づけてくるから、
ますます表情を隠す事が出来なくて、
ついでに感情まで剥き出しにされていくようで…
駄目だ。
これ以上は無理だって。
「っ、忠義が何考えてるのか、全然分かんないっ…」
頬をはさむ忠義の両手を掴んで無理矢理剥がして、あたしは逃げた。
逃げ出した。
全力で。
「Aっ？！」
そんな声は当然振り切って。
ーーしかし、運動不足のアラサー女の全力疾走など、50mにも及ばず、
一瞬で息切れを感じ、
次の瞬間にはもう手首をしっかりと掴まれていた。
「おっそ…」
呆れた顔でそう言いつつも、痛いくらいに強い力であたしの手首を掴む手に、少しだけ忠義の必死さが感じられた。
「…っ、、」
息切れと混乱で言葉が出てこない私に代わって、忠義は落ち着いた声で言う。
「ーー夕飯は後回しやな。
ウチ帰って、ちゃんと話しよ？」
、、どうやら、もう逃げ道はないらしい。
大人しく頷くと、手首を掴んでいた手は緩められ、そのまま下に降りてきて、
あたしの掌をキュッと握った。
そのまま二人とも無言で、今来た道を戻った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1311人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「関ジャニ∞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まめまめた(プロフ) - 渡璃凛さん» 渡璃凛さん☆はじめまして！コメントありがとうございます！文才なんて恐れ多いっ( ；´Д｀)誤字脱字だらけののろのろ更新ですが、引き続きよろしくお願いします(^^) (2020年9月9日 13時) (
レス) id: a925dd1186 (このIDを非表示/違反報告)
渡璃凛(プロフ) - 初めまして！更新めっちゃ嬉しいです！その文才本当にリスペクトしております、、！更新頑張ってください！！ (2020年9月5日 14時) (レス) id: d9624783f4 (このIDを非表示/違反報告)
まめまめた(プロフ) - ブルームーンさん» ブルームーンさん☆パワーワード笑確かに！笑 (2020年7月13日 12時) (レス) id: a925dd1186 (このIDを非表示/違反報告)
ブルームーン(プロフ) - こんにちはm(_ _)m「章ちゃんの相方ちゃん」…なんてパワーワード…呼ばれたい…(ストーリーの主旨と離れててすみません) (2020年7月5日 22時) (レス) id: a475b78d7e (このIDを非表示/違反報告)
まめまめた(プロフ) - あーばるさん» あーばるさん☆コメントありがとうございます！他の作品も読んでいただいているとは、有り難し( ´∀｀)今のところ丸山さん出番少ないですが、ここから出番が増えますので、お楽しみいただけるようがんばります！ (2020年7月5日 19時) (レス) id: a925dd1186 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まめまめた
| 作成日時：2020年1月28日 14時
