・ ページ21
「俺は不規則な生活やし、多分Aが望むほどオマエとの時間を作ることも出来へんと思う。
…寂しい思いも、させてまうと思う。
せやけど、絶対にAのこと大事にするから…
ーー俺と、付き合ってくれへんか？」
顔を赤らめた彼がくれた告白は、
とても正直で、真っ直ぐで、
何年経ってもこんなにはっきりと思い出せるくらい、嬉しかった。
そう、彼はいつだって正直で、真っ直ぐで、
多分嘘とか誤魔化しとかを嫌う人で、
出来ないことははっきりNOと言うけれど、
その代わり自分に出来ることで埋め合わせしようとしてくれる人だった。
付き合いはじめてそれ程経たずに一緒に暮らすようになったのも、
宣言通り、忙しい彼となかなか会えない日々が続いて不安や寂しさを抱えていたあたしのためで、
「一緒に住んだら、とりあえず毎日顔は見れるやろ？」
何かのついでみたいにそう言って鍵を差し出した彼の顔が、
告白してくれたあの時と同じくらい赤く染まっていた事も、
やっぱり今でもはっきりと思い出せる。
ーーだけど、未だにそんなことを宝物のように思い出すあたしは、
幸せな思い出に必死に縋っているだけなのだろうか…
今の状況を打破したいと思うのならば、
きっと話は凄く簡単で、
たった一言、彼に伝えればいいのだろう。
だけど、どうして言えないのだろう…
��寂しい��
そのたった一言が。
あたしが抱えている感情は、
もう抱え切れない程に膨れ上がった感情は、
そんな一言で済んでしまうほど簡単なことなのに…
彼とちゃんと向き合いたいのに…
「すまん、遅なった。
飯も、折角用意してくれとったんに、ほんますまんかった…」
彼が眉を下げて謝る度に、
(ーー今日はいつもより張り切って作ったのに…
一緒に食べようと思って、結構待ってたんだよ？)
そんな本音を飲み込んで、
「大丈夫だよ、明日の朝ごはんに食べてもらうから。」
物わかりのいい顔を作ったのは、あたし。
「今日も遅なるから、先寝といてな。」
あなたが疲れた顔で言う度に、
「あんまり無理しないでね…」
その彼を心配する気持ちに嘘はないけれど、
(ーーあたしとの時間は、必要ないの…？)
そんな本音は、やっぱり飲み込んできた。
大丈夫だと嘘をついて溜め込んできた不満や不安を見透かされたくなくて、
真っ直ぐに彼の顔を見れなくなったのは、
もしかしたらあたしの方だったのかも知れない…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1311人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まめまめた(プロフ) - 渡璃凛さん» 渡璃凛さん☆はじめまして！コメントありがとうございます！文才なんて恐れ多いっ( ；´Д｀)誤字脱字だらけののろのろ更新ですが、引き続きよろしくお願いします(^^) (2020年9月9日 13時) (
レス) id: a925dd1186 (このIDを非表示/違反報告)
渡璃凛(プロフ) - 初めまして！更新めっちゃ嬉しいです！その文才本当にリスペクトしております、、！更新頑張ってください！！ (2020年9月5日 14時) (レス) id: d9624783f4 (このIDを非表示/違反報告)
まめまめた(プロフ) - ブルームーンさん» ブルームーンさん☆パワーワード笑確かに！笑 (2020年7月13日 12時) (レス) id: a925dd1186 (このIDを非表示/違反報告)
ブルームーン(プロフ) - こんにちはm(_ _)m「章ちゃんの相方ちゃん」…なんてパワーワード…呼ばれたい…(ストーリーの主旨と離れててすみません) (2020年7月5日 22時) (レス) id: a475b78d7e (このIDを非表示/違反報告)
まめまめた(プロフ) - あーばるさん» あーばるさん☆コメントありがとうございます！他の作品も読んでいただいているとは、有り難し( ´∀｀)今のところ丸山さん出番少ないですが、ここから出番が増えますので、お楽しみいただけるようがんばります！ (2020年7月5日 19時) (レス) id: a925dd1186 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まめまめた
| 作成日時：2020年1月28日 14時
