毛玉と人肌(紫) ページ18
「お帰りなさいっ」
玄関のドアが開く音に慌てて出迎えに行けば、
「おー、ええ子にしてたか？」
彼の甘い声が聞こえて、
それに応えるように、
ニャ〜ニャ〜
と甘えた声を出す。
ーーいや、あたしじゃないよ？
彼の愛猫、チーちゃんだ。
今日もやっぱり負けた…
一足先に彼を出迎えたチーちゃんを愛おしそうに撫でる彼と、
ゴロゴロと喉を鳴らしながら気持ちよさそうに彼の指を独占するチーちゃん。
しばらくして満足したチーちゃんが部屋の奥へと戻っていくと、ようやくあたしに一瞬だけ視線をよこした彼は、
「おぉ、ただいま。」
と一応あたしにも声を掛け、
だけど指一本触れる事なく、
「シャワー浴びてくる。
先に寝ててええからな。」
そう言ってバスルームに消えて行った。
ーー今日の会話も、これで終了か…
ニャーニャー
普段あたしには素っ気ないチーちゃんが、あたしの足元に擦り寄ってきて可愛らしい声を掛けてくれたのは、
多分、同情。
(ドンマイ)
とでも言わんばかりにあたしを見上げてくれる彼女は、
きっと彼の愛情を独占している自覚があるのだろう。
そして、きっと彼よりもずっと、あたしの気持ちを理解してくれているのだ。
有り難うの代わりに彼女の柔らかい喉元を撫でてから、
はあぁ…
と深い溜息を一つリビングに残して、寝室へ向かった。
猫と張り合う程、馬鹿馬鹿しくて虚しいことはない。
そんなこと、自分が一番よく分かっている。
分かっているが、あえて言ってもいいだろうか…
「ーーあたしとチーちゃん、どっちが大事なのよ…」
冷えた寝室に小さく響いた呟きに、勿論返事など返ってきはしない。
だけど、聞かずとも答えは分かっている。
はあぁ…
もう一度漏れた溜息を掛け布団に吸い込ませた。
天井の仄か明かりを見つめていても、一向に眠気は訪れない。
やがて寝支度を整えた彼が寝室に近づいてくる気配を感じて、慌てて目を閉じる。
あたしが起きていると、
��寝とけ言うやろ。オマエも仕事あるんやから、さっさと寝なあかんやろが。��
と怒られるから、いつの間にかこうして寝たフリをするのが癖になっていた。
しばらくすると、予想通りドアの開く音がして、彼がベッドに入ってくる気配を感じた。
いつも通り、目を瞑って寝息に似た深い呼吸を繰り返しているうちに、
隣からも深い呼吸音が聞こえてきて、
あたしはゆっくりと目を開けた。
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まめまめた(プロフ) - 渡璃凛さん» 渡璃凛さん☆はじめまして！コメントありがとうございます！文才なんて恐れ多いっ( ；´Д｀)誤字脱字だらけののろのろ更新ですが、引き続きよろしくお願いします(^^) (2020年9月9日 13時) (
レス) id: a925dd1186 (このIDを非表示/違反報告)
渡璃凛(プロフ) - 初めまして！更新めっちゃ嬉しいです！その文才本当にリスペクトしております、、！更新頑張ってください！！ (2020年9月5日 14時) (レス) id: d9624783f4 (このIDを非表示/違反報告)
まめまめた(プロフ) - ブルームーンさん» ブルームーンさん☆パワーワード笑確かに！笑 (2020年7月13日 12時) (レス) id: a925dd1186 (このIDを非表示/違反報告)
ブルームーン(プロフ) - こんにちはm(_ _)m「章ちゃんの相方ちゃん」…なんてパワーワード…呼ばれたい…(ストーリーの主旨と離れててすみません) (2020年7月5日 22時) (レス) id: a475b78d7e (このIDを非表示/違反報告)
まめまめた(プロフ) - あーばるさん» あーばるさん☆コメントありがとうございます！他の作品も読んでいただいているとは、有り難し( ´∀｀)今のところ丸山さん出番少ないですが、ここから出番が増えますので、お楽しみいただけるようがんばります！ (2020年7月5日 19時) (レス) id: a925dd1186 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まめまめた
| 作成日時：2020年1月28日 14時
