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「ほな、とりあえず。
信ちゃん、おかえり〜」
あたしに気を遣いつつも、この場の空気を和ませようと乾杯の音頭を取る章大。
さっきからあたしにチラチラと向けられる視線には、謝意と哀れみがたんまりと含まれているが、それもそうだろう。
『ゴハン行かへん？』
大学時代からの友人である章大からそんな誘いを受けたのは昨夜のこと。
それは決して特別な事ではなく、あたし達の間では月一程度の恒例のお誘いだった。
だから何も疑う事なく、ましてや覚悟などあるはずもなく、いつも通り向かった馴染みの居酒屋。
案内された個室で、まさかこの男が待ち構えているなんて…
勿論、章大に嵌められたとは思っていない。
むしろ章大は巻き込まれた被害者であろう事は容易に想像がつく。
章大は昔からこの男に振り回されて、それでも許してあげてしまう包容力と優しさの塊のような子なのだ。
だが、しかし。
あたしは今更この男に振り回されてあげるつもりは微塵もない。
一体何故、５年も音信不通だった元カレと顔を突き合わせて乾杯せねばならんのだ。
��おかえり"なんて言葉をかけてあげる義理すらないはずだ。
と、頭の中では怒りと不満が渦を巻く。
ーーそれなのに…
結局この男の向かいの席に腰を下ろしてジョッキを片手に一応乾杯してしまっている自分を、理解出来ない。
それでも、
「なんや、さっきからえらい大人しいな？
疲れとるんか？」
言葉を発しないあたしの顔を怪訝そうに覗き込んで、
５年という空白の時間を、まるで無いものとするかのように以前と変わらぬテンションで話しかけてくるこの男以上に、理解不能なものはないが。
「ーー５年も前に別れた女に今更どんな用があるのか、手短にお願いします。」
この男のペースに巻き込まれてはいけない。
早々にこの場から立ち去るためには、こちらから話を進めるのが得策だろう。
そう判断して、むこうからの問い掛けは無視して、出来る限り感情を抑えた声を出した。
そして、半分意地のような気持ちで、真っ直ぐに視線を向けた。
多分睨むように見つめた先には、懐かしい綺麗な二重瞼の瞳。
だけど、あたしと視線が絡んだ、その一瞬、
微かにその瞳が切なく揺らいだように見えた。
ーーいや、気のせいか。
「ほな、手短に言うけど、結婚してくれ。」
この状況でこんな冗談を言えるこの男に、そんな殊勝な感情などあるはずがない。
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さくらもち - 更新されていた当時からこっそり読ませて頂いていました。久しぶりに読んでみて、やっぱりまめまめたさんの作る世界が大好きで、ずっと1番です。もうここにはいらっしゃらないかもしれませんが、どうか届きますように。 (3月7日 2時) (
レス) id: 5f7a39fac4 (このIDを非表示/違反報告)
まめまめた(プロフ) - ブルームーンさん» ブルームーンさん☆今回も最後までお付き合いありがとうございます！こんな贅沢な眠れない夜なら大歓迎ですよね(//∇//)続き、やっぱり気になります？今妄想中のお話が書けたら、続編頑張ってみようかなぁ… (2021年6月4日 19時) (レス) id: a925dd1186 (このIDを非表示/違反報告)
ブルームーン(プロフ) - 飲みの帰りに大倉くんに焼きモチ焼かれて、安田くんに１日一人占め宣言されて、横山くんがゲロ甘…。こんな夜過ごしたらバチ当たるよね！バチ当たりたい！！続編、何卒m(__)m (2021年6月4日 2時) (レス) id: d5063d2f63 (このIDを非表示/違反報告)
まめまめた(プロフ) - ブルームーンさん» ブルームーンさん☆新しいアルバムの特典とかにどうですか？！笑 お願いします、インフィニティさん（^人^） (2021年1月25日 13時) (レス) id: a925dd1186 (このIDを非表示/違反報告)
ブルームーン(プロフ) - え…この乙女ゲーム、どこでダウンロードできますか？(笑) (2021年1月23日 2時) (レス) id: a475b78d7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まめまめた
| 作成日時：2020年9月9日 13時
