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原田拓人は、一連の事情を聞いたあとに取引について自白した。海外の客も招かれるパーティーに乗じて取引をする予定だったらしい。
父親の事を聞いた千景はショックを受けていたようだが、原田拓人が警察に連れていかれる際に謝罪をされたことによってなんとか気持ちを保てたらしい。


「Aさん、私アメリカに行くことにしたの」
「アメリカ……?」
「私ね、実は通訳の仕事をしたいと思ってるの。それに私みたいな性格は日本よりも海外のが合ってる気がするし」

いつもの喫茶店でお茶を飲みながら笑顔でそう言う千景に苦笑いで返すと、彼女はぐいっと一気に紅茶を飲んだ。

「透……元気にしてる?」

どこか悲しそうに微笑む千景を前にしてつい目を横に逸らしてしまった。

あの事件の後、降谷は本名さえ言わなかったものの自分が警察官であることを明かした。千景は驚いた顔をしたがあっさりと彼との関係を切ることを承諾した。
彼の前では「結婚できない理由が分かってスッキリした」と笑顔だったが、どうやら彼女にとってそれは精一杯の強がりだったようだ。

「勿論色々思うことはあるの……私の事どう思ってたの?とかAさんとの関係とか…………本当の名前は?とか……」
「え、」
「ふふ、警察官でさえ読むことが出来るなんて自分の才能を過信してしまうわね。
透が嘘つきだなんて最初からわかってたの……それでも好きになってしまった、どうしようもないじゃない、そんなの」

まるで彼女が鏡に映った自分のように思えた。好きになってしまったからしょうがない……そうだ、私もそうなんだ。

「ありがとう、Aさんに会えて本当によかったわ」
「千景……」

いつの間にか呼び捨てにしていた名前を呼ぶと彼女はどこか恥ずかしそうに微笑んだ。


「私も、あなたに会えて本当によかった」


大切なことを沢山気づかせてくれた。
まるで物語の主人公とライバルが最終回で友情の握手を交わすように、私は彼女から差し出されたその手に応えた。

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*柚木*(プロフ) - にゃーのまるさん» ありがとうございます。続きも頑張って書いていきますので応援よろしくお願いします! (2018年4月2日 10時) (レス) id: 4d1a807fc3 (このIDを非表示/違反報告)
*柚木*(プロフ) - nanoka(*´∀`)さん» お返事遅くなり申し訳ありません。嬉しいお言葉ありがとうございます (2018年4月2日 10時) (レス) id: 4d1a807fc3 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーのまる(プロフ) - 主人公の恋がなかなか叶わないのって夢小説だと少ない方なのでそれプラスキャラ作りが固まっていて引き込まれるストーリーで良かったです。 (2018年4月2日 4時) (レス) id: 4d95e3749f (このIDを非表示/違反報告)
nanoka(*´∀`)(プロフ) - 凄く、心撃ち抜かれました← これから好きになってくやつですね!!すごい好きです!続き、首長くして待ってます!! (2018年3月28日 23時) (レス) id: 3399c25298 (このIDを非表示/違反報告)
*柚木*(プロフ) - ひゆめさん» いつもありがとうございます〜!頑張ります(^^) (2018年3月24日 2時) (レス) id: 4d1a807fc3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:*柚木* | 作成日時:2018年3月8日 22時

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