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新居は父と母に進められたそこそこ良い値段のマンションの一室だった。既に引越し業者には荷物を運んでもらっており、ダンボールが各部屋に積まれている。
「思ってたより多いな」
「うん、降谷……じゃなくて、零さんは明日も仕事でしょ?今日はとりあえず寝よ。明日から私が片付けていくから」
「1人で大丈夫?」
「大丈夫だよ、家のことに専念するために会社辞めたんだから」
心配そうな顔で尋ねる降谷にそう返すと、不意に抱きしめられる。突然の事で時間差で鼓動が早くなっていく。
「れ、零さん?」
「本当にありがとう」
こちらこそ、と言おうとすると降谷の右手が服の中に入っていこうとしたので慌てて距離を取った。
「だ、ダメだよ明日は朝から仕事って言ってたでしょ!?」
「でも……」
「そういうのは……もうちょっと落ち着いてからにしよ?私、頑張ってすぐ片付けるから」
自分でも恥ずかしいことを言っている自覚はあるので、彼に赤くなっているであろう顔を見せないよう俯く。
「そういう事なら楽しみにしておく……」
「う、うん……。あ、お風呂!沸かしてくるね!」
気まずさから逃げるように浴室へと入る。
政略結婚って愛情が無いものばかりだと思っていたけど、そんなことは無かった。降谷のことを全て知っているか聞かれるとハッキリ「はい」とは言えない。しかし、自分でも驚くくらいに彼の顔を見る度にドキドキするし、どんどん彼のペースに流されていってしまう。
正直あまり普通の新婚生活など期待していなかったがこれは期待して良いかもしれない。
思わず緩む顔を鏡で見てしまい自分で少し引いてしまった……。
風呂のスイッチを入れて浴室から出ると、降谷はダイニングテーブルで仕事をしているようだった。こんな時でも仕事か……と逆に尊敬してしまう。しかし私もお湯が沸くまでの間ボーッとしてるわけにも行かないので、キッチン関連のダンボールを開けていく。
調理器具や調味料など、配置場所を考えながら置いていく。ふと降谷からの視線があることに気付いた。
「あ、ごめん……うるさかった?」
「いや、Aの朝ごはん楽しみだと思って」
ニコリと笑う降谷にギクリとしてしまう。確かに自炊はしていたが、風の噂では降谷はとても料理がうまいらしい。そんな降谷の口に合うような料理を作れるのか、少々不安ではあった。
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*柚木*(プロフ) - にゃーのまるさん» ありがとうございます。続きも頑張って書いていきますので応援よろしくお願いします! (2018年4月2日 10時) (レス) id: 4d1a807fc3 (このIDを非表示/違反報告)
*柚木*(プロフ) - nanoka(*´∀`)さん» お返事遅くなり申し訳ありません。嬉しいお言葉ありがとうございます (2018年4月2日 10時) (レス) id: 4d1a807fc3 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーのまる(プロフ) - 主人公の恋がなかなか叶わないのって夢小説だと少ない方なのでそれプラスキャラ作りが固まっていて引き込まれるストーリーで良かったです。 (2018年4月2日 4時) (レス) id: 4d95e3749f (このIDを非表示/違反報告)
nanoka(*´∀`)(プロフ) - 凄く、心撃ち抜かれました← これから好きになってくやつですね!!すごい好きです!続き、首長くして待ってます!! (2018年3月28日 23時) (レス) id: 3399c25298 (このIDを非表示/違反報告)
*柚木*(プロフ) - ひゆめさん» いつもありがとうございます〜!頑張ります(^^) (2018年3月24日 2時) (レス) id: 4d1a807fc3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:*柚木* | 作成日時:2018年3月8日 22時