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「あ、零さん……おかえりなさい」
「……ああ」

少しだけ驚いた顔をした後、スグに表情が戻り風呂場へと向かった。

「あ、夕飯は?」
「食べてきた」

そう言ってこちらに顔をむけることなくそのまま入っていった。
彼が少し驚いた顔をしていたのは私が昨日のように逃げずにいたからだろうか、それとも話しかけたからだろうか。どちらでも良いがやはり彼はもう必要以上のコミュニケーションを取るつもりはないようだ。

夜の方は……って考えたところで分かっていることだ。

はあ、とため息をつくと眠気が襲ってきた。ベッドに行こうと歩みを進める。しかしピタリとその足が止まった。
ベッドに行くと、彼の匂いがする。もし、その匂いを嗅いでしまったら私は寂しさで死んでしまうのではないだろうか……。

そんなことを考えているうちに瞼は限界を感じそのままソファで寝てしまった。



____________

____






真っ白い空間で誰かが泣いていた。

ああ、私だ。

昔の私は泣き虫だった。
私が10歳の誕生日の日父は祝いの場に帰ってこれなかった。母は寝る時間をいつもより遅くすることを止めなかったので、私はずっと起きて父を待っていた
大きな声は出さなかったものの、ずっと泣いていた。これはその時の私だ。

そのまま私は寝てしまい、丁度帰ってきた父がブランケットを……………………?


父じゃない、これは誰だろう。


ああ、彼だ。子どもの姿だが私の愛しい人。

少年に気づいて起きた夢の中の小さな私は彼の顔を見ると笑顔になって抱きついた。

ああ、そんなことをすると彼はまた怒って……


しかし降谷はそのまま笑顔で私を抱きしめ返した。


なんだ、やっぱり優しいじゃん。




涙がポタリと落ちる感覚でハッと目が覚める。ソファで寝てしまったことを思い出した私は起き上がろうとすると自分の上にかけられていたブランケットに気がついた。

夢の中と同じだ。彼はこれをかける時どんな気持ちだったんだろう。

ブランケットの温かさが彼の心の温かさであると錯覚させる。涙がポタリポタリとブランケットの上に落ちる。


しかし私には今寝室を開けて彼の横で眠る勇気はなかった。

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*柚木*(プロフ) - にゃーのまるさん» ありがとうございます。続きも頑張って書いていきますので応援よろしくお願いします! (2018年4月2日 10時) (レス) id: 4d1a807fc3 (このIDを非表示/違反報告)
*柚木*(プロフ) - nanoka(*´∀`)さん» お返事遅くなり申し訳ありません。嬉しいお言葉ありがとうございます (2018年4月2日 10時) (レス) id: 4d1a807fc3 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーのまる(プロフ) - 主人公の恋がなかなか叶わないのって夢小説だと少ない方なのでそれプラスキャラ作りが固まっていて引き込まれるストーリーで良かったです。 (2018年4月2日 4時) (レス) id: 4d95e3749f (このIDを非表示/違反報告)
nanoka(*´∀`)(プロフ) - 凄く、心撃ち抜かれました← これから好きになってくやつですね!!すごい好きです!続き、首長くして待ってます!! (2018年3月28日 23時) (レス) id: 3399c25298 (このIDを非表示/違反報告)
*柚木*(プロフ) - ひゆめさん» いつもありがとうございます〜!頑張ります(^^) (2018年3月24日 2時) (レス) id: 4d1a807fc3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:*柚木* | 作成日時:2018年3月8日 22時

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