幽霊さんと暮らした一夏に。

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※cnさん過去パートのため亡くなる場面を含みます
cn side


目から雫がぽろぽろと溢れ出してしまって。

止めようとしてもなかなか止まらない。


涼「この前、なんとなく会ったことがあるような気がしたんだ。」


それはきっと遠い昔の、


とっても大切な思い出の話。

___



もう何年も前、僕が君の世界の住人だった最期の夏の話。


当時、身体が弱く入退院を繰り返していた。

この辺りは田舎だけれども医療設備が整った大きな病院があるとかで、人生の殆どをここで過ごした。


君と出会った日。


あの日は、検査結果が報告される日だった。


お父さんたちが結果を聞いている間、なんだか怖くて、


病院から少し離れた公園に1人逃げ出して来たんだ。


「かえりたくないなぁ。」


幼いながらに結果が良いものでないと分かっていた。

今朝も担当医の先生はなんだか悲しそうだったから。


？「どーしたの？大丈夫？」


1人公園のブランコで空を見上げていたのに。


「だぁれ？」


涼「リョースケ！このへんに住んでるの？」


「まぁそんなかんじかな。」


涼「名前は？なんていうの？」


問いかける瞳は優しくて、

ふわりと包み込まれそうになって。


ただ生きて、生きて、君と遊びたくなってしまったんだ。


「ひみつ。ぼく、ダンサーとかスポーツ選手とかになって、有名になるからそのときに分かるよ。」


なんて、絶望の中で見つけた光に小さく希望を残した。


涼「すごいね！かっこいい！」


「そう……かな？」


だって、きっと、叶わない。叶えられないのに。


涼「ねぇ、どうして泣いてるの？」


あのとき何故だか分からず零れ落ちた涙の理由を、

今なら分かる気がするんだ。


涼「きみの名前を聞ける日を楽しみにしてるね。ずっと応援してる。」


そのあと少しだけ、ほんの少しだけ、

リョースケが持っていたボールでキャッチボールをして。


「また会ってくれる？遊んでくれる？」


涼「もちろん、ずっとここで待ってるよ。」


結局これがリョースケとぼくが遊んだ最初で最後の日だった。


病室に戻ると担当の先生からひどく叱られた。

そして、一枚の、たった一枚の重い重い紙をもらって泣いた。


その後何回か手術が繰り返されたけど、


もう約束は叶えられなくなった。


ここで僕の思い出の話は終わり。


____


涼「ずっと待ってたよ。ユーリ。」


「遅くなってごめんね。会いたかった。」


そう返した言葉は君にはどう聞こえているのかな。

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