捌、旋律を解く ページ23
ym side
自分の係の仕事を終え、
体育館で行われている発表を見ようと…
いや、イノオさんを探していた。
音楽を語るときの瞳と、後悔に対する思いは、
胸を締め付けるものがある。
ひとつ、人の声色。
ふたつ、ベースの音色。
みっつ、キーボードの音色。
現在活動している軽音部および吹奏楽部は、
昨年より少ない部員で、
だけど、激しく、それでも優しく、
人を魅了し音を届ける。
思い出す記憶は苦く、酸っぱい、
ちょっぴり切ない味がした。
__そうか、だから同じ制服だったんだな。
初めて話した時、イノオさんはもう幽霊だった。
だけど初めて見たときは、生きていたんだ。
こうしてこの体育館のステージに置かれたキーボードを軽やかに弾き、美しい旋律を成していた。
隣にはいつもベースをかっこよく、楽しそうに弾く人がいた。
音楽の教科担当でもない癖に、
薮先生が一緒に歌うものだから、
みんな自然と笑顔になるくらい素敵な思い出で。
いつものふざけた様子とは違って、
いきなり美声を奏でるものだから、
女子の間ではギャップ萌えだの騒いでいた。
その光景は輝かしく鮮やかに流れている。
そして音階のズレた放送は残酷に。
或1人の死、本校で亡くなった1人がいたと。
噂では、キーボード担当の人と。
交通事故だったらしい。
俺はその当時、体調を崩すことが多くて。
病院に行ってから学校。
または、早退することも少なくなかった。
知らないことの方が多くて。
だけど、先生が深く落ち込んでいたことは覚えている。
最初に会ったときに、イノオさんは先生を呼んだ。
今になって漸く気づく。
__やっておいた方がいい。
その言葉はどれだけの苦しみが含まれていたのか。
全てを分かることはきっと出来ないけれど。
体育館のステージに置かれた、弾かれることのないキーボードは音を出す。
その音を聞けたのは、
恐らく少ない。
それでも強く耳に残り、響いて、伝わる。
イノオさんと目があった。
慧「…ちょっとだけ、今夜話を聞いてくれる?」
「聞かせて欲しいです。」
目の前にイノオさんの手が伸ばされた。
慧「一つお願いがあるんだけど…。」
心拍数はあがる。
慧「肝試し、参加して?」
「……は?」
慧「お願い!一生のお願い!」
そんなことで一生のお願いだなんて、
本当に使っていいんですかね。笑
夜の音は悲しいのに。
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さき(プロフ) - ciaociaoさん» コメントありがとうございます……!削除する予定なのは謝罪のページのみなので、大変お待たせしてしまいましたが今後も更新させていただきます(>_<)紛らわしい書き方をしてしまい申し訳ないです。お気持ちとても嬉しいです!今後もよろしくお願いします! (8月4日 11時) (レス) @page29 id: 7b1fe2d542 (このIDを非表示/違反報告)
ciaociao(プロフ) - Twitterにおしらせいただいたので、久しぶりに読ませていただきました。もう続きを投稿いただけないとのことで残念です、、お気持ち変わりませんでしょうか、、 (8月4日 7時) (レス) @page29 id: 33ff52010d (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - めいめいさん» わぁぁ!ありがとうございます!返信遅くなってしまい申し訳ございません……また近々更新します! (2022年6月5日 0時) (レス) id: 7b1fe2d542 (このIDを非表示/違反報告)
めいめい(プロフ) - いつも読ませてもらってます。更新楽しみにしてます!!! (2022年5月19日 21時) (レス) @page27 id: 3da430cefd (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - 桃大福さん» 返信遅くなってしまいすみません…。そういっていただけるとモチベーション凄くあがります!!ありがとうございます! (2021年3月11日 13時) (レス) id: 7b1fe2d542 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さき | 作成日時:2020年8月8日 1時