第27話〈可笑しな質問〉 ページ28
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gr｢朝の礼だ言わないでおいてやる。ここで何をしてるんだ｣
『私もそれを聞きたいのだけれど』
gr｢質問を質問で返すな。｣
『ゾムという人物についての資料を探しているんだ』
寝覚めとは思えないほど疲れを見受けられない顔を無表情に固定して、歩き出した彼。
少し足を進めた辺りでピタリと止まり傍にあった本を手元に寄せる。分厚い装丁のそれは、どうやら予想していた通り彼の名前が書かれていた
『…ありがとう』
そう告げると、ゆっくりとした軌道でルビーの瞳がこちらを向く。その色彩は濃い筈なのに透き通るを通り越して、消えてしまいそうなその淡い輝きだった。
gr「お前が礼を言うのは気持ち悪いな」
落ち着き払ったその視線は、きっと冷たいという印象を受けるだろう。だけど私は何故か思う、この人の視線は、儚い。
『グルッペンさんはここで何を？』
ぱたん、と音を立てて閉じたハードカバーの本を私の方に差し出す。白い指先からそれを受け取ると本はずしりと重かった。
表紙には何も描かれておらず、裏返したり中を開いたりしても著者にあたると思われる文字はなく、ただ｢黒魔術｣についてとしか書かれていない
『黒魔術…なぜこの本をもっている？』
gr「それが俺の探し物だ。それ以外答えるつもりは無い」
さらっと言い放つグルッペンさん。だけど私はそれよりもこの本の存在感に手が震えた。彼が持っているということに何故か、恐ろしさを感じたのだ
あの本を彼が持ってはいけない。
理由もなく、そんな気がして。
『そんなの使う機会なんてないだろう？』
gr｢さぁ、どうだろうな｣
彼が冗談でそう言ったのは分かっている。けれど私の心は酷く乱れるだけだった
隣に並ぶグルッペンさんは私よりも10センチ以上は背が高い。端麗な横顔だけ見ていると、彼も気づいたのか私を見つめた。
gr｢お前は、身近にいる信頼していた人間に裏切られたらどうする｣
唐突にグルッペンさんは私への質問した。相変わらず本を見つめたまま。私は口が動かなかった、違う答えを出したら取り返しがつかないような気がして
『…私は殴ります』
gr｢……殴るのか｣
『はい、なんで裏切ったのかなんて聞きません。ただ殴って許します。相手を信じているから、私はその人を必ず連れ戻す』
gr「……なるほどな」
私の返事を聞いて、グルッペンさんはくるりとその場で踵を返して資料室のドアに向かって行った
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かんぽ(プロフ) - タダノ・ミソニコミさん» コメントありがとうございます！中々進み具合が遅いので他の方と接触するのは、もう少し先やイベントの時に発展させていこうと思います！ (2020年7月14日 3時) (
レス) id: 9e38ce5fa2 (このIDを非表示/違反報告)
タダノ・ミソニコミ - もう、話の進み方がド性癖過ぎて語彙力溶けました、いつも無茶苦茶楽しみながらみさせていただいてます！毎回見るたんびに残念な頭で思考を巡らせながら読んでますw kn.utのシーンでどういうことだ？ってなりましたね…更新頑張ってください！後、大好きです！ (2020年7月14日 0時) (レス) id: 47c28898f7 (このIDを非表示/違反報告)
かんぽ(プロフ) - トーストさん» コメントありがとうございます！どうやって皆さんを入れてみようかと悩みながらも、時間が経ってしまいすみません！今日中には続編へ行けたらいいと思っています…！ (2020年7月12日 1時) (レス) id: 9e38ce5fa2 (このIDを非表示/違反報告)
トースト(プロフ) - 楽しく読まさせてもらっております。この作品めっちゃ好きです！作者様も好きです！(唐突な告白)体調に気をつけて更新頑張ってください！ (2020年7月11日 23時) (レス) id: 8d298a3565 (このIDを非表示/違反報告)
かんぽ(プロフ) - 仰げば尊死さん» 羨ましいです、元気100倍…。頑張っていきます！ (2020年6月23日 2時) (レス) id: 9e38ce5fa2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：H | 作成日時：2020年5月28日 1時
