Agapanthus. (ページ6)

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You Said.

大変だ…これは完璧に迷子だよ…

自分から行くって言った手前、友達に助けを求めるわけにはいかない。

『はぁ…やっちゃった…』

そばにあった公園のブランコに腰掛ける

東京に来たからってさくちゃんに会える訳でもないし、

それなのに聖地巡礼とかさくちゃんの好み〜とか、

本当に何してるんだろうなぁ…私…

右も左も分からないような土地に一人ぼっち。

そんな孤独感、虚無感が胸いっぱいに広がる。

…画面の向こうの、手の届かない人を好きになってしまった。

叶うはずのない恋。

やめようと思って捨てられる感情じゃないことはわかってる。

夢の中にたまにでてくるさくちゃんは、

笑いかけてくれるのに…

この期に及んでまだ言うか、

自分でツッコミを入れたりするけど、やっぱり心は晴れない。

『…花のやう微笑み絶やさず嬉しげに

話しける貴方は夢の中だけ…

…まるで、この花みたいに…』

ふと頭に浮かんだフレーズで短歌を詠む

ぶつけようのない想いを、自分の内に秘めて置けないこの気持ちを、

表現出来る唯一の方法。

…ｶﾞｻｶﾞｻｶﾞｻｯ

『…ひっ？！…ｯ』

ガサガサと音がなり、反射的に音のなる方をむく

背が高い男の人がこっちを向いて立っていた

暗くて、顔はよく見えない…

まさか…不審者？！

なんとか心を落ち着けようとする

ああ、そうだ、この花壇の花の名前…

確か…この花は…アガパンサス…

和名、紫君子蘭…

お花の本を読んでいた時、

紫色の花が輝いて見えて、さくちゃんみたいだなぁって思ったから、印象によく残ってる

この花の花言葉は…確か…

『恋の訪れ』『愛の訪れ』

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