・ ページ11
「貴女は…なんなんですか?」
固定概念を否定しようとした問い掛けではない。彼はまるで生きているとは思えない態度の彼女に、一抹の不安ならぬ一抹の期待を覚えたのである。
「…機械技師ですよ。ただの。……体調、悪いんですよね。私から上手いこと言っておきますから、部屋に戻って下さい。…拷問には、慣れているから…こういう対応は得意なんです。」
彼女の眼に生気はない。ここでいう拷問とは、あのパーティーであろう。
「でも…此処でのことはどうかご内密に。私は……みんなから好かれる…明るくて優しいけど、悪戯っ子な女の子のまま、死にたいんです。」
死という一言に、死体愛好家である彼の期待は膨大に膨れ上がった。自分を理解してくれるのはあの小説家では無かった。彼女だ。この欺瞞に包まれた機械技師だった。
「それじゃあ……。」
という一言を最後に、トレイシーはふらふらとドアノブに手をかけた。このまま彼女に詳しく話を聞きたいイソップであったが、今は時間が無いので名残惜しいが話をするのは辞めた。
上手く話をしてくれるとのことなので、今回は彼女に頼ろう。
そしてこれからも、きっと。
パーティーへ参加するトレイシーの後ろ姿を見送ってから、イソップも己の部屋へと戻っていった。
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちゃば - 申し訳御座いません。突然ログインが切れてしまったので一旦投稿を中止します (2022年1月14日 22時) (レス) id: 94d93d2c55 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃば(プロフ) - 百日草さん» コメント有難う御座います。ただの未熟者ですがこれからも精一杯頑張らさせて頂きます。 (2021年12月30日 16時) (レス) id: 94d93d2c55 (このIDを非表示/違反報告)
百日草 - 更新頑張って下さい。応援しております。 (2021年12月30日 15時) (レス) @page7 id: 46e6433036 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ちゃば | 作成日時:2021年12月30日 12時