推しの彼氏

とらぴの恋 ページ28

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今頃ブルペンで調整をしているであろう
浩人くんに頑張れがんばれと念を送っていると、






湯浅「大勢」






ふいに耳に届いた、
ずっと聞きたかった声。



振り向いた先には、
ストレッチをしながら大勢くんに話しかける
湯浅の姿があった。




ファンサに一生懸命で、
侍ジャパン側のベンチ付近まで
来てしまっていたことに気づく。


慌てて戻ろうと身を翻すけど、
また耳に入った声に引き止められた。






大勢「可愛い？かわいい？」


湯浅「気持ち悪い気持ち悪い」






なんの話かわからないけど
(様子を伺うと大勢くんがぶりっ子ポーズしてた)、
湯浅の高い笑い声がここまで聞こえてくる。


なんか幸せで離れられない。




そうだ、わたし
ずっとこの声が聞きたかった。


それだけで胸がいっぱいになる。




見慣れない赤のユニフォームを着てること以外、
なにも変わらない姿から目が離せなくて。




その時、こっちを向いた湯浅と目が合った気がした。



やばい。
とっさに顔を逸らしてしまった後、
自分が着ぐるみであることを思い出す。


こそこそしたら逆に怪しいかも。



思いきって前足を振って誤魔化してみる。



湯浅は「？」顔をしながらも、
可愛く手を振ってくれた。




わわ、ファンサもらった気分。


思わぬご褒美に浮かれながら、
阪神ベンチへと足早に帰ったのだった。











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