狂犬くんの妹ちゃん II

バレンタイン ＊ ページ4

マリイさんリクエスト


相良猛side


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今日はバレンタインデーらしい。



遠巻きに眺めていた複数の他校の女子生徒から
人づてにチョコを渡されたりしたが、
俺が欲しいのは一つだけだ。



昨日からAが軟高の赤坂理子とかいう女と
こそこそと何かを準備していたから、
気づかないふりをしつつ、
それなりに楽しみにしていた。



……なのに






「え、俺らにもくれるんすか！？

あざす！！いただきます！！」



「わ、Aさん料理上手いんすねー！」






次々とAからチョコをもらう開久の
下っ端たち。



……まあまあ、俺には後でくれるのかもしれねぇし
待っとくか。



そう思い直すが待てど待てどAが
こっちに来る様子はない。





智司と並んでソファに腰掛けていると、
あいつがとことことやって来た。



来た。思わず前のめりになる、が。






『さっちゃん、はいどうぞ』



智司「いいのか？」



『うん！たべてくれる？？』



智司「食うよ。ありがとな」






智司に頭を撫でられて、嬉しそうなA。



……え、俺は？



智司に渡したんなら次は俺だろ。






猛「A、」



『！』



猛「にぃにのは？」



『……わ、わかんない、、』






「わかんない」ってどういうことだよお前。



あっという間に逃げて行ったAを
呆然と見つめるしかない俺に、
哀れみの目が注がれる。






「相良さん、あの、これいりますか……？」



猛「……てめぇ、Aのチョコが
食えねぇってか」



「ひ！？いや違……」






下っ端の気遣いもわかるけど、



Aにもらわなきゃ意味ねぇんだよ。







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