犬系女子と飼い主系男子【梵天】

求愛行動　　with佐野万次郎　＊ ページ30

.







今日で徹夜5日目の万次郎。



目の下の隈は更に深く刻み、
人相がとことん悪くなってる。



なるべく刺激しない方がいいのかなと
近寄らずにいたら、逆効果だったらしい。




淀んだ真っ黒い瞳が私を
穴が空くほど見つめてきて怖すぎる。



ちょ、今なに考えてるの？殺す気じゃないよね？






万次郎「A」


『ひっ、はい！』






怯える私に、万次郎は無言で
スッと手のひらを差し出した。






『？』






とりあえずぽむっとお手をしてみる。



その途端、ぎゅううううと骨が軋むくらい
すごい力でお手を握り返されて。






『痛い痛い！！なに！？』


万次郎「オマエが悪い」


『へ！？』


万次郎「疲れてる時にこんなんされたら
部屋に連れ込んでめちゃくちゃにする」






意味のわからないことをブツブツ呟きながら、
引きずるように部屋に連れて行かれた。




乱暴に部屋の扉を蹴り開け、
いきなり私をベッドに押し倒す。



わわわ、やばい。

眠いから力加減バカになってるって。




片手一本で私の自由を奪ったまま、
空いた手で脚をこじ開けたところで、
ぴたりと動きが止まった。




万次郎の視線の先には、太ももにあるキスマーク。



嫌な予感がして、さっと血の気が引く。






万次郎「……ねえA。これ、誰の？」


『……………』


万次郎「言え」


『……これは、蘭ちゃんです……』


万次郎「……ふーん……


死にてぇらしいな」






うわーん！だから言いたくなかったのに！！




蘭ちゃんのバカ！絶対道連れにするから。







.

. ＊→←. ＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す