犬系女子と飼い主系男子【梵天】

食べて ページ19

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どうにかして万次郎のベッドに
入れてもらえないかと考える。



どうにかして……そうだ、たい焼き！



たい焼きを餌に、ベッドに誘い込む作戦だ。


そしてあわよくば一緒に寝る。



どこに飼い主を餌で釣ろうとする犬がいるのか。




「オマエほんとバーカ」と笑い転げる
ゲス兄弟は無視して、

たい焼きをこそこそ隠しながら
万次郎の部屋へ向かった。



彼は、窓の外に広がる夜のネオン街を見下ろしていた。






『ま、万次郎！』






声をかけると、首だけこちらを振り向く。



剣呑な瞳は今にも「出てけ」と言わんばかりだ。






『……私を食べて？』






たい焼きのセリフのつもりで話しかけると、
ぴしりと万次郎が固まるのがわかった。



え？上手くいった？



ゆらりとこちらに歩いてくる彼に、
とっさにたい焼きで顔をガードすると
スパンと手で払われた。



手の中のたい焼きが吹っ飛ばされる。






万次郎「……食べる」






ぎゅう、と抱きしめられる。



ええええ。たい焼きに釣られたんじゃなかったの？



予想外の反応に今度は私が固まる番だった。




そのまま体重をかけられて、ベッドに押し倒される。




食べるって、私を！？



どうやら万次郎には初めから
たい焼きなんて見えていなかったらしい。



やばい、そのパターンは考えてなかった。




押し倒されたままぐるぐる目を回していると、
冷たい手のひらに頬を包まれはっとする。







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