犬系女子と飼い主系男子【梵天】

迎え ページ2

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場所は港の廃倉庫。



私は縄です巻きにされ、地面に転がされていた。



目の前の椅子に腰掛ける、
誘拐犯の一人である見張りの男を
きっと睨みつける。






『早くこの縄ほどいてください』


「ほどくわけねーだろ。

オマエは今から海に捨てられんだよ」


『じゃあそれでもいいから、早く連れてって！

じゃないと、そろそろ迎えが……』


「あ？迎え？」






その時だった。



ドアを破壊する凄まじい音が響き渡り、
土煙の中、蹴破った姿勢のまま突っ立つ2つの影を見て
私は青ざめる。






『に、逃げて！！』






誘拐犯に向けて叫んだのだが、時すでに遅し。



バン、銃発音と共に、
頼みの綱だった彼は呆気なく撃ち殺された。



くたりと力尽きた私の元に、
革靴の音が近づいてくる。






『うえーん……また失敗だ〜……』


蘭「あーよしよしお兄ちゃんだよ〜。怖かったなぁ」


竜胆「芋虫みたいに巻かれやがって。

跡とかついてねーだろうな」






縄をほどかれながら、
犬みたいにぐりぐりと頭を撫で回される。



灰谷蘭と灰谷竜胆、
この「顔だけイカレ兄弟」にまた捕まってしまった。



絶望にため息をこぼす。



息をするように人を殺す反社会勢力から足を洗い、
普通の一般市民になりたい夢は、
また一歩遠のいた。







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