その瞳に映るのは 2【ハイキュー】 (ページ38)

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清水の前まで来ると、いっぱい走ってきたのか
ハァハァと肩を上下させ、息を切らしているA

『間に合った、よかった！』

弾けたように笑っているAを、清水は不思議そうな顔で見ていた。遠くから走ってくる時は、見慣れない制服を着ていたため誰か分からなかった

「あ、あれは！！！！音駒マネ！！！？？」

「ッッセーラー服で登場！！！月に代わってお仕置きしてください！」

初めてAをみた山本同様、おかしな2人は目を両手で抑え
地面に跪いた。その様子を見て谷地は更に縮こまり、清水の背中へと隠れる

『あれ、マネージャー増えたんですか？』

「うん、最近新しく入ったんだ」

「1年や、谷地仁花でっっス！！！」

清水の背中から少し見えた金髪の少女にAは興味津々で、覗きこむと、バサァ！と髪の毛が広がるくらい頭を下げられていた。そして、マネージャーが増えたことが余程嬉しいのか、Aもニコニコで自己紹介をしていると、眩しい…！と谷地は腕で目を塞いだ

「黒尾、なんでAさん制服なんだ？もう夏休みだろ？」

「ああ、なんか来年度の学校のパンフ用にモデル頼まれたらしい。ちょうど今日と被って朝から写真撮ってたっぽい」

「へー、すげえな。美人だとそんなのもあるんだ」

先日担任に呼び出され、急にその話をされたA
撮影日が合宿日とまるまる被っていたため、断っていたが
早朝ならと無理やり時間をずらしてもらっていたのだ

「…ていうか、おい。何か人足んなくねえか？」

「実は……」

そう日向と影山は赤点を取ってしまい合宿日が補習と被ってしまったため東京に来れなかったのだ
そんな話を澤村としていれば、未だに地面に蹲ってAを見ては、ガンガンと頭を地面に打ち付ける2人を黒尾は、デジャブだな…と見ていた

『あの2人大丈夫ですか？』

「あ、うん。見なかったことにして。あと合宿中何かされたら遠慮なく教えてね」

面白い物をみた顔で2人を覗いていたが、清水には十分注意してと警告された

「A」

『あ、黒尾先輩。すみません私の仕事なのに、案内ありがとうございました』

黒尾が名前を呼ぶと駆け寄ってきて、隣に立つ澤村や菅原を見るとお久しぶりです、と会釈をし、続けて黒尾に眉を少し下げて謝った。本来練習試合の相手校の案内や迎えはマネージャーの仕事なのに、Aの用事のため黒尾と海が代わってしていた

「気にすんな、それより早く着替えてこいよ。烏野は俺が連れてくから」

『じゃあよろしくお願いします、潔子ちゃん、ひとかちゃんまた後でね！』

ヒラリと手を振って、走り去って言った