その瞳に映るのは 2【ハイキュー】 (ページ34)

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「あ！黒尾さん、研磨さん、Aさんおはざーす！」

「おー、みんなもう来てるか？」

体育館を開ければ、既にほとんどの部員が集まっていて
ネットの準備をしている途中だった
黒尾の問いに、気まずそうに犬岡が口を開いた

「それが…リエーフがまだで」

「1年は早めに来いっていつも言ってんのにあの野郎…」

見渡せば、確かにリエーフの姿がない。こんなことは日常茶飯事で遅刻をしてくることが少なくない

「どうせ今日も道草食ってんすよ！フン！」

「野良猫みたいなやつだな」

『ほんとマイペースなんだから』

遅刻しなくてよかったー、危な。と心の底でヒヤヒヤしながら
ドリンクを作って体育館へ戻ると巨体が入口に立っていた

『おはよ、リエーフ』

「あ、Aさんおはようございます！」

『っえ、何この可愛い子〜！』

ニャーっという鳴き声が聞こえ、リエーフの腕の中には小さな黄土色の猫がいた。体育館に猫、異様な光景だが目をハートにしてリエーフに近づくA

「その猫外出してこいよ」

「登校中に猫拾ってくるヤンキーみたいなシナリオ要らねえんだよ」

『えええ、ちょっとまってリエーフ私も触っていい？』

他の部員は迷惑そうに顔を顰めるが、大の猫好きのAはキュンキュンと胸を躍らせてフワフワな猫を可愛い〜と撫でている

「でしょー」

『私の家も猫飼っててさ〜』

なんて話していると監督とコーチが体育館に入ってきて、やばい！と自分の仕事に移った
IH予選で敗退しベスト8止まりの音駒は、春高に向け練習を繰り返して、今はAB戦を行っている

『芝山ナイスレシーブ！』

「全員いい感じに気合いが入ってますね」

「うーん…」

今年入った1年も着実に実力を伸ばしつつ、チームが安定してきているような現状に、直井が満足そうにいうが、隣の猫又は、腕を組んで難しそうな顔でいた

「できたできた！出来たじゃないすか！」

「バカ！前見ろ！」

IH予選からさらに気合いが入っているリエーフ
ロシア人とのハーフなだけあって、身長、手足の長さ、身体能力、反応の速さは日本人離れしたー級品だが、抜けている性格や基礎不足なため育てるところはたくさんある

『でもリエーフのレシーブフォーム綺麗だったよ！』

「Aさんまじっすか？！」

「コラA甘やかすな！」

パチパチと拍手を送るが、夜久にコートから口を挟まれ
良かったと思ったのにと頬を膨らませた

「でも、春高予選面白くなるんじゃないですか？」

「いけねえなあ……」