その瞳に映るのは 2【ハイキュー】 (ページ2)

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賑やかな部屋から一変して静かな部屋に戻って1時間
話し声がちらほら聞こえたが、今ではとっくに物音さえしない

みんな寝たかな

なんて思っており、真っ暗な部屋の天井を見つめる
喉乾いたと、立ち上がりカバンの中を探るが見当たらず、顔が一気に青ざめる

『やばい、お風呂上がりに飲もうと食堂の冷蔵庫の中だ…！』

最悪だー…と落ち込むが我慢する気もおきず、真っ暗な廊下に出る。スマホのフラッシュを頼りに、１階へ向かう
そういえば、昨日見た心霊番組で階段に出た幽霊の話あったな……と嫌な記憶を最悪なタイミングで思い出し、足早に階段を降りた

ジーーッと自動販売の起動音だけが響く１階
この階には誰もおらず、洗濯室、多目的室、浴場、食堂があるだけだ

早く戻りたい…！と駆け足で食堂に向かい、冷蔵庫を開ける
中を開くと携帯の光よりも明るいライトが照らされ、地味に安心感があった

明日の朝の食材のベーコンや卵や野菜が並ぶ中、キャップに“A”と書かれたペットボトルを手に取り、冷蔵庫の扉を閉め戻ろうとすると、ガタッと食堂の扉の音がした

『えっ…なに、なに今の…！まじ無理なんだけど…！』

なにか気配がした訳でもないが風もない室内で明らかに誰かがぶつかった音がした
やばい、これはやばい、早く逃げなくてはと速攻で食堂を出て
俯いて階段を上がる

(古い民家の階段…そこに姿を表すという。白い服を来た女が……)

プチパニックになっているAの頭には何故か今になって、昨日見た心霊番組のナレーションの不気味な声がループしていた
自分だけの足音が響く室内

踊り場に足を踏み入れた時だった
ペタッと何もいないはずの後ろから足音が聞こえて、Aは固まるように立ち止まった

『はぁっ…！だ、だれ…？』

決して後ろを振り向かないが、腕に触れる手のような感触
頼りにしていたスマホも床に落ちて、真っ暗な階段
息も耐え耐えで、返事もしないため後ろを振り向こうとした時、力ずよく腕をひかれ正面を向かされると同時に目は手で覆われ、さらに暗闇が広がり、背中には壁のひんやりとした温度が伝わる

『や、やめ…！』

「バァ」

と声が聞こえ、開けた視界
そこには、月明かりに照らされた黒髪の彼の姿が見えた

『黒尾…先輩…？』

Aを見下ろす黒尾
その表情は微かに笑っていて、腕を掴まれているため身動きが取れない

『えっと…何してるんですか』

「攫いにきた」

『どういう……あっ！』

恐怖を覚え、涙を微かに浮かべて黒尾を見上げるA
その首にゆっくりと近づいた