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「何ニヤニヤしてんの」

「Aちゃんに明後日花火誘われた」

孤爪宅で、ベットに寄りかかりゲームをしている孤爪が部屋から戻ってきた黒尾をみて怪訝な顔をして聞くと、後ろ首を手を当て、スマホを持った黒尾が微かに嬉しそうに言った

「……はい、よかったね」

フイっと顔を戻しゲームに集中した孤爪の横に座り直し、はァァァと盛大なため息を吐いた黒尾にビクリと体を揺らす

「え、なに」

「どういうことだと思う、研磨」

「どういう事ってそういう事でしょ」

「そういう事ってどういう事」

俺に聞くなとでも言いたげだろうか、面倒臭いという顔をした孤爪。合宿終わり悩んでいた黒尾はなんだったんだろう、心配した意味あったのか…と思うが、特に返事もせずコントローラーを動かしている

「だって俺デートとか久々よ?高1の時の彼女以来だっての」

「あーあの3ヶ月で別れた人ね。」

「そこ強調してないで、変な別れ方でもねえし」

高校に入って1人と付き合った黒尾だったが、この子も自分から好きになった訳ではなく告白され気になる相手になり付き合いだした。が、間もなく別れそこから女の子はご無沙汰だった

「行くんでしょ?」

「モチロン」

黒尾は人より気遣いもでき、周りをよく見ているため、女子相手に紳士的な行動をすることが多い。元カノもいた訳だし、とくに心配することもないだろうと孤爪は思うがそれでも悩んだ顔をしている黒尾

「さっきから何に悩んでるの?」

「可愛すぎるAちゃん見たら俺たぶん我慢できない」

「気持ち悪っ……」

「おい。こっちはガチだって」

我慢の意味がどっちなのかは孤爪にも分かる。黒尾はだれこれ構わず手出しするようなチャラいパリピだったら真っ先に友達を辞めているだろう。恐らく彼が言っていることは気持ちを伝えてしまうという意味だろう

「別に言えばいいじゃん」

「お前なぁ、簡単に言うけど…俺は今回ちゃんっと段階を踏みたいのよ。Aちゃんに振られでもしたら俺ホント無理だよ。多分部活辞める」

「うん嘘、バレー辞めないのは分かってるから」

「……っまあそれは冗談だけど、3日間は山に冬眠する」

「夏だから大丈夫」

珍しくウジウジしている黒尾をみて、今までの彼女より黒尾の気持ちが大きく、本当にAを大切にしたいという気持ちがあるのは伝わってくる。

「そんな深く考えなくていいでしょ。別に告白だってしなきゃいいし。でも…好きな人を楽しませてあげるのが1番だよ」

落ち着いた口調で、恋愛マスターのように見える孤爪、そんな彼を黒尾は不思議そうに見つめた

「お前なんで彼女いないの?」

「別にいらないし…」

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作者名:ぱるむ | 作成日時:2024年3月20日 6時

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