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バンッ!とトランプを隠すように机に手をついて立ち上がった澤村。カーテンが大きくはためいた。教室隅には女子と男子二人が横向きになり倒れていて、その下で、赤く血走った3人の目が、日向を睨みつけた。
「え?……う、うわ!出た、鬼ーーッ!!!」
日向は飛び上がり、そのまま扉も閉めず1目散に逃げ出していった。主将たちが、顔を見合せ、そして気まづそうに目を逸らした
「日向、あいつ……鬼って言ったか?」
いつの間にか寝ていたAにも気づかずゲームをしていたのか……。教室隅で仲良く眠りこけている2人をどうすっか……と再び視線を交わした
「おーい、赤葦、A起きろー」
ぺちぺちと頬を叩かれた赤葦は寝ぼけ眼で木兎を見て上半身を起こす。としてすぐ横に倒れているAを見て、ヒッと体を遠ざけた
「は……なんでAがいるんすか?しかも寝てるし」
「あー、また色々あってな」
澤村が頭をかいて気まづそうに言う。黒尾も声をかけるが一向に起きる気配は無さそうだ。すると、よーっし!と意気込んだ木兎
「ここは俺に任せなさい!」
「木兎さん…何を……」
「あ?決まってんだろ、運ぶんだよ!女子部屋まで!」
堂々胸を張ってAの生足の膝下に腕を通そうとした時、待て待て待てと3人から止められる。すると不服そうに口を膨らませた
「流石に女子部屋まで運ぶのは問題だろ。第一入るのでさえ許されないだろ」
「じゃあ、男子部屋で寝かせんのか?それもマズイだろ!!」
常識人の澤村が顔を青くしてそう言うと、木兎もそれなりに反抗してきてじゃあどーすんだ!と言ってくる。ここまで付き合わせた自分たちにも責任はあるためほっとけない。
「ここは主将責任として黒尾が起こせ」
「はぁ〜?んだよ、それ。おーい、Aさーん起きてくださーい」
声をかけるだけでは起きる様子はなく、しかし寝ている体に触れて起こすのもな……と何故かここで慎重さを出す4人。そして可哀想だが、意を決して4人で大声を出して起こす作戦に出る
「せーの」
「「「「起きろーーーー!!!」」」」
そしてパチッと目を開け、ムクリと起き上がったAの表情をみて、全員が後退りをする
「えっと…Aさん…?」
その表情は、眠気のあまりか心底嫌そうで、鋭い目で4人を睨みつけていた。それに加え小さく聞こえてきた『チッ』という舌打ち。素早く立ち上がり、何も言わずに出ていってしまった
「こ、こわい鬼だ……」
「Aに嫌われた……」
そういえば谷地がAの寝起きが悪いと昼間に話していたと思い出し、静かに震え上がった。3人は静かに自室に戻り布団に入った
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作者名:ぱるむ | 作成日時:2024年3月20日 6時