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『あ!忘れてた!!』
布団でだらだらしていたが、いきなり飛び上がったのはAだった。またかと呆れて大滝が何?と聞く。
『監督からもらったメモ黒尾先輩に渡すの忘れてた…』
ジャージのポケットから取り出した紙を見れば、達筆な文字が並べられているメモがある。明日でもいいじゃん?と聞けば、『たぶん渡してこないと先輩につめられる』と困った表情をした
「もー、まったくあんぽんたんなんだから」
『かおりちゃんおっちょこちょいって言って!』
どっちも一緒だけどな…と清水が口には出さないが思っていると、ちょっと教室行ってくると立ち上がり出ていこうとする
「そういえば今日主将会議やるって言ってたから違う教室だと思うよー」
「あ、でもこんな時間だから終わってるかも」
宮ノ下が声を掛けるが、時計を見れば10時になっていて、流石に終わっていると予想する。とりあえず行ってくる、とバタバタと教室を出ていった
薄暗くなっている廊下はひんやりとしていて気持ちがいい
3階から男子部屋がある2階へと階段を降り、音駒が使っている教室前には明かりが漏れていてホッと息を着く
コンコンとノックをすれば中から声が聞こえてきた
「あれ、どうしたんですか?」
『犬岡、黒尾先輩いる?』
ヒョッコり教室のドアから中を覗けば一同が不思議そうな顔で振り返っていた。が、そこには黒尾の姿は見えなかった
「ああ、黒尾ならまだ主将会議してる部屋にいるよ」
そう声をかけてきたのは副主将の海だった
一緒に会議に出ていたはずの海は戻ってきていて何してるんだ?と首を傾げる
『わかりました、教室どこですか?』
「2ー6だよ。どうしたの?って、行っちゃった」
頭を下げ去っていってしまったAの後ろ姿に何だったんだ?と呟く。夜遅くにお邪魔してはいけないとAの気遣いだったのだろう
「おい、今めんどくさい事なってんだろ?A行かせていいのか?」
「うーん…多分巻き込まれるね…」
(2ー6、2ー6。あったここだ)
廊下を小走りして、教室の前に着けば中から、木兎の声が響いてくる。こんな時間まで何してるんだろう…?そう思いながらドアをノックして失礼します。と引き戸を開けた
その先は異様な光景であった
「誰だ!!!」
バンッと澤村が机を叩き振り返る
その威圧感に『え…っ』と声を上げ1歩後ろに下がる
教室の中を見れば机をくっつけ澤村、黒尾、木兎が向かい合って座っており、その表情は鬼のような形相であった。そして黒板下にはうつ伏せになっている赤葦
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作者名:ぱるむ | 作成日時:2024年3月20日 6時