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既に犬岡は話に入らず、日向とバレーボールをくるくる回して遊び始めている。協力しようとした2人だが、問題が発生して輪になり会議を始めていた

「……男たるもの、紳士になるべきではないのだろうか」

「紳士だと……!?」

「そうだ、横暴ではいけない。まずは紳士になり、そこから話しかけていけば信頼が生まれる!」

おおお!と目を輝かし始めた山本は紳士になる!と意気込んでいた。そして田中は紳士とはいかにあるべきか、答えてみろ。と山本に問う

「……ステッキ、か?」

「お、いい線いってるぞ、虎」

隅で会話を聞いていた月島、山口は会話の路線が意味わからないことになっており、呆れを通り過ぎ笑いを堪えている
まずは身なりからと、西谷が提案し玄関か置き忘れの傘を持ってきた

「……ど、どうスか?」

Tシャツにハーフパンツで布団の上に立ち、片手にビニール傘を持った山本を見てふたりは息を飲んだ

「こ、これは少年の心を忘れない紳士のおもむきがあるな。ノヤっさんはどう思う?」

「なんか文明人っぽくなったぜ、自信持て!」

そして紳士になるためのトレーニングが始まった。
犬岡はバラエティ番組を見るかのように面白そうに眺めていた

「あと紳士と言ったらなんだ犬岡、さあドンとこい!」

「え?紳士…ブラックコーヒーですかね」

そんな一言を放ったがため、ブラックコーヒーを買いに走らされる犬岡。教室に戻れば、ゴクゴクと嫌そうな顔をして飲み干した

「飲んだぜ、これで俺も紳士だ…」

「よくやった!じゃあ、これから女子マネージャーたちの部屋に行くぞ、さっそく実戦だ!」

そうして少し赤い顔をした山本を連れて、勇ましく教室を出ていった。その後を「猛虎さーん!」と犬岡が追いかけていく。

4人を止める気力などとうに失っていた縁下がタオルケットにくるまり力なく呟いた

「英国の紳士なら、コーヒーじゃなくて紅茶だろうが……。」

やっと静かになった教室では今までの流れを見ていた面々がブハハと笑い声をあげている

「まず紳士になったのはいいけど、見た目だけで中身なんにも変わってないよね…」

「バカは形から入るって言うし」

山口と月島も先輩がいなくなったからか、思ったことを口に出し始め、影山と日向は英国はアメリカだ!いや、オーストラリアだろ!などの不毛な言い争いを広げている

教室を出て階段へ向おうとする時、1つ隣の音駒の部屋から澤村と菅原の笑い声が聞こえてくる
紳士になった山本は、悩みを解決できるのであろうか

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作者名:ぱるむ | 作成日時:2024年3月20日 6時

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