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その後梟谷と音駒大勢を交えて練習をしていると時間は既に8時になっていた。9時には食堂がしまるため、まだまだ動き足らないという木兎だが赤葦が背中を押しなんとか練習が終わる
「ったくあいつら鍵のこと忘れてんだろ」
『お腹すきすぎて頭回ってなかったですね』
真っ先に赤葦を引っ張って食堂に向かっていった木兎や、リエーフにつられて着いていく犬岡達
最後に残った黒尾が鍵をかけ、はあとため息を着く
流石主将そこらへんの管理はしっかりしているようだ
第1体育館からはかすかに声が聞こえてきてまだ練習をしている様子。黒尾とAが校舎に戻ろうと歩いていると周りが森に囲まれているせいかわりと静かで夜になると涼しい風が吹く
『烏野まだ練習やってる、偉いなあ』
「メガネ君はさ素質あると思うんだよね。元の身長がデカいし、ブロックまだ雑だけど磨けば木兎にだって張り合える。まだ1年だからってのはあるけど」
何だかんだ世話焼きの黒尾は、月島のことを少し気にしていて
頭をかきながら話し始めた。隣のAも静かにそれを聞いていた
『うーん、バレーが嫌いな訳じゃなさそうだしやる気がない訳でもないですよね。ただ、何か彼がバレーに対する思いが皆と違うのかな』
「研磨もさ、小さい頃からずっとバレー一緒にやってんだけど俺が引きずり込んだみたいなとこあるから申し訳なさはちょっとはあるんだよ。あいつがバレーをどう思ってんのかは知らねーけど」
『熱血を求めているわけじゃないけど、研磨は最後までやりきるし、辞めたくなったらすぐ辞めると思いますけどね。月島くんと似てるけど、なんか違うかな』
「同じMBとしてさ伸ばせるところ見えたし、どうせ合同合宿やってんならお互い成長できることに損はないじゃん」
黒尾のバレーに対する思いは深く、いろいろと巻き込んできた孤爪にも言わないが思っていることを初めて知る。あまり関わっていない月島にもそれを思っていたが、なにか上手くいかずに悩んでいる様子だった。珍しい黒尾の様子をみて、Aはニンマリと笑みを浮かべるとなんで笑ってんのと上から見下ろされる
『黒尾先輩ってさ、なんだかんだ面倒見いいですよね』
「え、なに急に」
『大丈夫、私は先輩に感謝してますよ。声掛けてくれなかったらここに居なかったはずですし』
バレー部に来れて本当に良かった
満面の笑みでそうAの口から聞いた途端、心の奥底から熱が込み上げた。誰かがバレーを好きになってくれること、自分が引き込んで好きになってくれることが素直に嬉しかった
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作者名:ぱるむ | 作成日時:2024年3月20日 6時