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『こんな時間になっちゃったね〜、でも気分転換になったし、着いてきてくれてありがとね』
「ん、なら良かった。タオル音駒の皆にバレないといいね。でももし忘れたままでも誰も怒らないと思うけどな」
『そうかもしれないけど、仕事はちゃんと最後までしたいの!そのままにしてたら、たぶん気持ち悪くて今日寝れなかった気がする』
「そこまで……?」
だから自己満なんだ〜と10時半になっても尚楽しそうに学校へ戻るAの姿。この1時間でかなり彼女と打ち解け、印象も変わった。選手を日ごろから支えてくれるマネージャーに感謝しなくてはと改めて心の中で思わされた
2人の夜の散歩も終わり、明かりが灯る校舎に着いた
正面玄関はしまっているため、裏口から入ろうと扉を開けた時だった
『わあ!』
「……皆さんどうしたんですか?」
「どうしたもこうしたもねえよ!!!死ぬほど探したってのによー!!!Aと2人で夜に駆け落ちか!??」
目の前には仁王立ちをする木兎を始め、梟谷メンバーや音駒メンバー烏野もちらほら、そしてマネージャーまでもが揃っていた
トップバッターで飛び出して赤葦の肩を揺さぶっている木兎に続き、涙を浮かべて山本が叫び出した
「なんて良い奴なんだよーー!!俺たちのためにぃぃ!!」
「虎よ!!女マネとは尊いだろォ!」
『あれ、バレてる……』
「ごめん。本当に、本当に色々あってバレた……」
申し訳なさそうに雀田が謝るが、何が何だか分からない様子でAも赤葦も戸惑っていて、忘れてた私が悪いと困ったように頭を下げた
「赤葦、ホントこいつとんでもない事してよ」
「木兎さん…やめてください。ただ俺は付き添っただけで」
そうして、ひと段落着いた頃赤葦は、自分がいなくなった時の出来事を聞かされ、頭を抱え込んだ
音駒の部屋へAが呼び出されていた
「お前なあ、今回赤葦いてくれたから良かったけど、1人で出歩こうなんてすんなよ」
「……うん、ほんとバカ」
「まあまあ、俺たちのためにしてくれたんだし」
正座するAに向かって、厳し目に黒尾が説教をし始めると、海が横からありがとうね。と仏の笑顔を見せて、Aは涙ぐんだ
「まあでも、次そういうことあったら俺たちに言えよ
誰も責めたりしねえし、協力だってするから」
「僕も明日から手伝います!任せっきりですみませんでした!」
だから今日はありがとうな、と最後に黒尾は笑ってAの頭を優しく撫でた。Aの顔はますます涙ぐみ、温かい気持ちでいっぱいになった
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作者名:ぱるむ | 作成日時:2024年3月20日 6時