第十四話 ヤキモチ ページ17
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「…A、その猫今すぐ捨ててきて欲しいのだけど」
いくら休日とはいえずっとダラダラする訳にもいかず、洗濯物やら何やらとある程度終わってリビングに戻ってきた私に、先程より更に不機嫌さを増した治くんがそう言ってきた。
シルクちゃんを見れば何故か治くんにそっぽを向いており、一体何があったんだと思ったのは当然だろう。
「…そ、そういう訳にもいかないよ。頼まれてるし。…そ、それにほら!す、凄く可愛いし!ね!」
どうにか機嫌を持とうと思い、シルクちゃんを抱き上げて治くんに可愛さをアピールする。
だけど機嫌が良くなる所か眉間に皺を寄せた治くんの雰囲気は一段とピリピリし始め、ここに黒服さん達が居たらあまりの恐怖に腰を抜かしそうな程の殺気を放ち始めた。
内心冷や汗をダラダラとかき始める私は、本気でこのままじゃ治くんの機嫌は悪くなる一方だと頭を抱えそうになる。
どうしようと悩んでいると、治くんが溜め息を吐いた。
「…はあ、いくら猫でもAが私以外に笑顔見せたり可愛がったりするのは凄く腹が立つ。…けど、まあどうせ今日だけの辛抱だし……我慢するよ」
凄く不服そうにしながらもそう言ってくれた治くんに、私は思わず笑顔になる。何だかんだ治くんは優しい。
そんな事を思っていると、治くんに腕を引っ張られ抱き締められた。
治くんが喋ってる間にシルクちゃんを床に下ろしといて良かったと心の奥で安堵しながらも、この状況には安堵できない。
「ねえA、私、君が思っているよりずっと独占欲高いんだよ?」
うん。まあ、何となく気づいてたよ。だって猫にまで凄い嫉妬するから、これが人間だったらと思うと恐ろしいね。
てか本当お願いだからそんな耳許で喋らないで欲しい。治くん声良いからそんな低音ボイスで囁かれると嫌でも顔が熱くなる。
「ふふっ、可愛い」
真っ赤な顔の私を見て嬉しそうに笑う治くんが凄く眩しい。麗しいよ治くん。
そして君の方がずっと可愛い。まあこんな事言ったら拗ねるだろうから言えないけど。
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黒猫もふお - 神作品を発見してしまった……これが現実だったらいいのに……… (8月3日 11時) (レス) @page45 id: 9c4f5ea239 (このIDを非表示/違反報告)
梅林 - 物語も面白いし、何より、え、もう太宰さんが可愛すぎてこっちが可笑しくなりそうでした。本当にもう泣きそうなくらい可愛かったです!!これが現実では無いと思うとめっちゃ悔しくなります(;o;) (2020年2月27日 2時) (レス) id: 837f5e2707 (このIDを非表示/違反報告)
水瀬月鏡(プロフ) - 真菜さん» コメントありがとうございます!そんな風に思って下さってるなんて…!もう嬉し過ぎて涙が出ます!!(泣)本当に有難うございます!!これからも頑張らせて頂きます!! (2019年7月14日 16時) (レス) id: 6aa236e388 (このIDを非表示/違反報告)
真菜(プロフ) - とても面白くて、大袈裟に感じるかもしれませんが、これを楽しみに毎日過ごしてます!リメイク版も楽しみにしているので、自分のペースで頑張ってください!!! (2019年7月14日 16時) (レス) id: ef2b815640 (このIDを非表示/違反報告)
水瀬月鏡(プロフ) - 東雲 祀さん» コメントありがとうございます!太宰さん可愛いですよね(笑)。楽しみにして下さって本当に有難うございます!!これからも頑張らせて頂きますね! (2019年6月29日 18時) (レス) id: 6aa236e388 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水瀬月鏡 x他1人 | 作成日時:2019年5月21日 14時