【文スト】転生したら最推しに依存された件【太宰治】

第十三話　可愛いものは正義 ページ16

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「……ねえA、それ…何？」





とある日の休日、特にする事もなく家に居た私に、相変わらずの不法侵入をしてきた治くんが放った第一声。



先程まで笑顔でやって来た治くんの頬は現在引き吊っており、その指が差し示す所は私の膝だ。


いや、正確には私の膝に乗っているものである。








「…ニャ〜」




スリスリとすり寄ってくる白い毛並みをした猫。


名前はシルクと言い、偶々仲良くなった同じ構成員の30代前半の女性が、今日は少しの間家を空けなきゃならないからという理由で預けてきた猫である。



ソファーに座りまったりとしている私の膝に乗るシルクちゃんの頭を撫でていた時、タイミングが良いのか悪いのか治くんが現れたのだ。








一応軽く事情を説明しておくものの、治くんは凄く不服そうに眉を寄せている。



変に心の狭い治くんに苦笑いが溢れるも、そんな所も可愛いと思ってしまう自分。




矢張り私って治くん大好き人間だな、なんて今更すぎる事を思いながら私は膝に乗るシルクちゃんの頭を優しく撫でる。







「ニャア〜」




気持ち良さそうに目を細めるシルクちゃんに、私は嬉しくなって思わず笑みを溢す。



その時、横から身の毛も立つような物凄い殺気を感じた。絶対横を見ない方が良い、直感的にそう思ったのは間違いではないだろう。







そして何に対抗しているのか、いつもより強く抱き着いてくる治くん。


先程からグリグリと首筋に頭を当てられていて、地味に痛い。まあそんな所も大変可愛いし尊いけど。




なんか前々から思ってたけど、治くんって凄く猫っぽいなと思ったのは秘密だ。




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