第十二話 嬉しさ ページ15
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「…治くん、心配して欲しかったのは分かったけど、次からはこういう事はやめてね」
正直こんな事をまたされたら私がもたない。
まるで不器用な子どもが必死に好意を伝えているようで可愛らしいけど、矢張り怪我はして欲しくないに決まってる。
私の念押しに治くんはゆっくりと頷いた。まあ分かってくれたなら良しだ。そんな事を思っていると、治くんが口を開く。
「…A、」
「ん?…っわ…!」
何かこれデジャヴな気がする。
治くんに引っ張られて二人揃ってベッドに倒れ込む。鼻先と鼻先がくっつくくらい治くんの顔が近くにあって、思わず驚いてしまった。
すると治くんに強く抱き締められて、そのまま首筋に顔を埋められる。癖毛な髪が首筋に当たって少し擽ったくなりながらも、私は治くんを包み込むように抱き締めた。
そのままいつものように頭を撫でて上げる。そうすると気持ち良さそうに目を細めるものだから、毎度の事ながら私はその可愛さに萌え死にそうだ。
「ふふっ、治くん、大好きだよ」
「私の方がもっと好き」
笑みを溢しながら治くんが頬擦りをしてくる。ああ、本当に可愛い。
悶えたい衝動を抑えながらずっとそのままで居ると、治くんが急に顔を上げて私の唇にキスを落とした。
不意打ち過ぎてビックリする私を他所に、治くんは額、頬、瞼と色んな所にキスを落としてくる。
それが少し擽ったくて、私は笑みを溢す。
「…A、可愛い」
私としては治くんの方がずっと可愛いんだけど、矢張り好きな人に可愛いと言われるのはこの上なく嬉しい。
とはいえさすがにこのままだとまずい。治くんが暴走する。
前に一度こんな感じで雰囲気が持っていかれ、理性の切れた治くんに襲われかけた事があったがその時はたまたま来た中原さんが止めてくれた。
あのときの過ちはもう繰り返したくないので、そろそろこの辺にしないと。仕事もあるし。
「治くん、そろそろ戻らないと」
「………ちぇっ」
舌打ちした治くんを見て矢張り私をその気にさせる心算だったのかと苦笑いが洩れる。
まあそんな所も非常に可愛いけど。
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黒猫もふお - 神作品を発見してしまった……これが現実だったらいいのに……… (8月3日 11時) (レス) @page45 id: 9c4f5ea239 (このIDを非表示/違反報告)
梅林 - 物語も面白いし、何より、え、もう太宰さんが可愛すぎてこっちが可笑しくなりそうでした。本当にもう泣きそうなくらい可愛かったです!!これが現実では無いと思うとめっちゃ悔しくなります(;o;) (2020年2月27日 2時) (レス) id: 837f5e2707 (このIDを非表示/違反報告)
水瀬月鏡(プロフ) - 真菜さん» コメントありがとうございます!そんな風に思って下さってるなんて…!もう嬉し過ぎて涙が出ます!!(泣)本当に有難うございます!!これからも頑張らせて頂きます!! (2019年7月14日 16時) (レス) id: 6aa236e388 (このIDを非表示/違反報告)
真菜(プロフ) - とても面白くて、大袈裟に感じるかもしれませんが、これを楽しみに毎日過ごしてます!リメイク版も楽しみにしているので、自分のペースで頑張ってください!!! (2019年7月14日 16時) (レス) id: ef2b815640 (このIDを非表示/違反報告)
水瀬月鏡(プロフ) - 東雲 祀さん» コメントありがとうございます!太宰さん可愛いですよね(笑)。楽しみにして下さって本当に有難うございます!!これからも頑張らせて頂きますね! (2019年6月29日 18時) (レス) id: 6aa236e388 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水瀬月鏡 x他1人 | 作成日時:2019年5月21日 14時