【文スト】転生したら最推しに依存された件【太宰治】

第九話　安心感と温もり ページ12

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「…Aは、何があっても私とずっと一緒に居てくれるかい？」


「当たり前だよ。治くんが嫌って言ってもずっと一緒に居るよ」


「私がAを拒絶する訳ないじゃないか」





治くんはたまに子どもみたいな事を言う時がある。いや普段も子どもっぽいのだけど、何て言うか、どこか縋るように言うのだ。



不安とか孤独感とかに苛まれて、私がいつか離れていくんじゃないかと恐れている。


特にこんな物騒な裏社会だ。いつ死ぬかなんて分かったものじゃない。だから余計なのかもしれない。




もし私が死んだら治くんは本当に壊れてしまいそうだ。そんなあやふやさがある。


だからなのもあって、私は治くんを置いていかない為にも絶対死ねないのだ。





包み込むように治くんを抱き締めて、私はあやすように頭を優しく撫でて上げる。


そうすると気持ち良さそうに目を細めて、治くんは私を強く抱き締めた。






「…Aは温かくて、一緒に居るとひどく安心する」




優しげな声でそう言った治くんに、私は自然と笑みを溢す。





治くんは私に依存しきっている。本当は治くんの為にも突き放すべきなのかもしれないけど、それをしたら本当に治くんが壊れてしまいそうで私には到底できなかった。





何よりまず私がもたない。


昔エイプリルフールの時に、ちょっとした悪戯心で治くんに敢えて冷たくしたら、めちゃくちゃ大泣きされて暴露した後もずっと抱き締められ一週間以上まともに動けなかったくらいだ。



正直罪悪感でどうなかなりそうだったが、あの日から私は余計治くんに甘くなった気がする。







「…って、こんな事してる場合じゃないよ治くん！仕事遅刻しちゃう！！」



慌てて起き上がった私が治くんに呼び掛ければ、治くんは上機嫌な笑みを溢して寝台から起き上がった。





その日の治くんは終始気持ち悪いくらい笑顔だったとか。因みにこれは中原さん談である。



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