62話 ページ12
＊
学生時代のインターン以来にエンデヴァー事務所にお邪魔したAは所長室で先程手渡された本を解読し終えていた。
言いたいことはたくさんあったが、一言で纏めると「やっちまったなホークス」である。
この暗号通りであるなら、現在ホークスはスパイ活動をしているのだろう。常に監視されているから、得た情報は暗号で共有するしかないとAは考察する。
となると先程の表情と声色の相違にも納得だった。
「…………」
エンデヴァーは気難しい顔で書面を睨みつけている。
まだ解読できていないらしい。
敵は、解放軍、『連合』が、乗っ取り、数、十万以上、4か月後、決起、それまでに、合図、送る、失敗、した時、備えて、数を
たぶん、Aがいなければ完璧だったのだろう。
だがホークスたちにも救いはある。
なぜならAは敵連合でも解放軍でもなければ、国の転覆なんて考えてもいない。燈矢の片割れであるだけだ。荼毘との連絡手段も持っていない。
この「4か月後の決起」で全面戦争が行われる。4か月後が来るべき日なのだ。
そうと分かれば、Aにすることはただひとつ。
・
緑谷たちはエンデヴァー事務所で寝泊まりし、インターン活動に励んだ。
初日にエンデヴァー事務所まで着いてきたAは、しばらく所長室に留まった後に仕事に戻って行った。
緑谷がAの元にインターン生は来なかったのかとエンデヴァーに訊ねると、「学生に気を取られ、取りこぼした犯罪をカバーする」役目であると教えられた。
侮るなと怒りで炎を噴出しそうだと焦凍は思ったが、意外にもエンデヴァーは特に何も言わなかった。
そして1週間後の今日、エンデヴァーに連れられ緑谷と爆豪は轟家に訪れている。
「夏兄も来てるんだ」
「家族で焦凍たちの話聞きたくて。A兄はお仕事長引いちゃったみたいで……残念だけど、帰り際に顔を出せるか出せないかだって」
すっごく来そうにしてたけど、と付け加えた冬美に焦凍はその様子がまぶたの裏に浮かんだ。
「そっそうか、トーヤもこの家に…！！……？」
世間には公表されていないが、轟家の次男は死んだ兄の名前でヒーローをしている。
2文字目を伸ばしただけで発音は変わらない。
一瞬固まった冬美に緑谷が声をかける前に、焦凍は料理を運び込む手伝いを申し出た。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 956人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
緑猫(プロフ) - さぶろうたこさん» コメントありがとうございます！またまた褒め上手な方がいらっしゃいましたね、、とっても嬉しいです！今読み返すと目を背けたくなるような文章が多くあるので、今後の糧にしていきます笑 (2022年3月16日 23時) (
レス) id: dd1c3e784a (このIDを非表示/違反報告)
さぶろうたこ(プロフ) - ハートを付けに来たら、気づいたら一気読みして読み終わってました。。ほんとにこの2人の関係性スッッキです！文も綺麗で…最後の方とかあぁ終わっちゃう〜って思いながら読んでました笑ほんと好きです！ありがとうございます🙇♂️ (2022年3月15日 21時) (レス) @page50 id: a822d640f3 (このIDを非表示/違反報告)
緑猫(プロフ) - 作さん» コメントありがとうございます！書いちゃいました…照 こちらこそ、読んでいただきありがとうございます！ (2021年10月12日 18時) (レス) id: dd1c3e784a (このIDを非表示/違反報告)
作 - え………え？！？！そのネタ来ちゃいます？！女体化とか…好き……書いてくれてありがとうございます！！！！！ (2021年10月11日 22時) (レス) id: e1fc2cd2b3 (このIDを非表示/違反報告)
緑猫(プロフ) - 朝陽さん» 返信遅れてすみません！コメントありがとうございます！嬉しいお言葉です…完っ全に癖(へき)丸出しなので、朝陽さんとは良く語れそうです…笑 思いついたら書いていきますので、ゆっくりお待ちいただければと思います！ (2021年10月6日 22時) (レス) @page34 id: dd1c3e784a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：緑猫 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?
作成日時：2021年9月22日 0時
