52話 ページ2
＊
黒い脳無はスピードもパワーもエンデヴァーより上だった。
脳無の薙ぎ払った変容する腕がビルを貫通し、斜めに切れた巨大な建物が嫌な音をたててずれていく。
ホークスは羽を飛ばして被害部分の人間全てを移動させた。
「被害部分の76名、全員避難完了！お願いします！」
「速ェなぁ」
瞬間、落ちかけていたビル上層部分は巨大な氷山に包まれてその動きを止めた。
「応急処置だ！さっさと離れろ！」
「言われなくとも！」
落下を防いだのは氷なので、近くでバカスカ燃やされたら困る。Aの言葉にエンデヴァーは大声で返した。
余裕はない。しかしヒーローたる者、市民を安心させられる態度でいなければならないのだ。
エンデヴァーが火炎放射で脳無を飛ばしたのを見て、Aはホークスに指示を仰ぐ。空から戦況を見ることのできるホークスのほうが、状況判断が的確だからだ。
飛ばした羽が戻ってこれば、ホークスも階下の避難誘導に個性を捌ける。
Aにビル外の避難誘導を任せようとしたが、それより先に白い脳無が街に放たれた。
「9体！実力不明、確実に仕留めろ！」
「了解です！」
Aは初めて飛べない不便を感じた。
ビルから飛び降りるも距離的に間に合わない。Aは落下しながら宙で氷を生成し、市民に襲いかかる直前で脳無を氷漬けにし、そのまま砕いた。
エンデヴァーの熱で溶けてしまえば、拘束が解かれてしまうからだ。
大丈夫、まだ寒くない。
・
排出された脳無は9体。Aはそのうちの4体を砕き、または氷山で腹に開けて確実に殺した。
他のヒーローたちが手分けをして避難させてくれたおかげでAは大っぴらに殺しを行える。
ここらは見回った。
悲鳴の聞こえる方へと駆け出すAに、空からホークスが降りてくる。
「トーヤさん！加勢お願いします！」
返事も聞かず、ホークスはAを抱えて飛んだ。
「羽はどうした」
「エンデヴァーさんの背を押すのに使いまして」
それが何を意味するかわからないAではない。
ホークスの力を借りねばならぬほど、エンデヴァーが押されているのだ。
いやいやいや。ここまで来て主役が死ぬとか、そんなの困る。
敵連合の中で燈矢の地位って低いのかな。エンデヴァーが死んだら困るって話通しとけよ。
今の状況を誰が作ったのか知らないAは、片割れが虐められていないか心配していた。
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緑猫(プロフ) - さぶろうたこさん» コメントありがとうございます！またまた褒め上手な方がいらっしゃいましたね、、とっても嬉しいです！今読み返すと目を背けたくなるような文章が多くあるので、今後の糧にしていきます笑 (2022年3月16日 23時) (
レス) id: dd1c3e784a (このIDを非表示/違反報告)
さぶろうたこ(プロフ) - ハートを付けに来たら、気づいたら一気読みして読み終わってました。。ほんとにこの2人の関係性スッッキです！文も綺麗で…最後の方とかあぁ終わっちゃう〜って思いながら読んでました笑ほんと好きです！ありがとうございます🙇♂️ (2022年3月15日 21時) (レス) @page50 id: a822d640f3 (このIDを非表示/違反報告)
緑猫(プロフ) - 作さん» コメントありがとうございます！書いちゃいました…照 こちらこそ、読んでいただきありがとうございます！ (2021年10月12日 18時) (レス) id: dd1c3e784a (このIDを非表示/違反報告)
作 - え………え？！？！そのネタ来ちゃいます？！女体化とか…好き……書いてくれてありがとうございます！！！！！ (2021年10月11日 22時) (レス) id: e1fc2cd2b3 (このIDを非表示/違反報告)
緑猫(プロフ) - 朝陽さん» 返信遅れてすみません！コメントありがとうございます！嬉しいお言葉です…完っ全に癖(へき)丸出しなので、朝陽さんとは良く語れそうです…笑 思いついたら書いていきますので、ゆっくりお待ちいただければと思います！ (2021年10月6日 22時) (レス) @page34 id: dd1c3e784a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：緑猫 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?
作成日時：2021年9月22日 0時
